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職務発明の報奨金の税務上の取扱いを確認しました (2016.03.01)

職務発明の報奨金の税務上の取扱いを確認しました

従前、つまり、旧法の下では職務発明等の報奨金(発明の対価)は、
出願時に支払う分は、特許を受ける権利を承継する際に一時に支払を受けるものであるため譲渡所得として取り扱われ、
登録時及び実績報奨として支払う分は、権利の移転によって一時に実現したものでないため給与所得に該当せず、使用料と同様の性格を有していること等から、雑所得として取り扱われていました。
そのため、報奨金については、会社等の使用者が源泉徴収する必要がありませんでした。
参考:職務発明等に係る報奨金の所得税の取扱いについて(照会)

これが、今後、つまり新法の原始使用者等帰属の下では、
従業者から使用者への譲渡という概念がなくなります。
そのため、税務上、職務発明等の報奨金(相当の利益)が、給与所得として取り扱われるのではないか?
という疑問が生じます。

そこで、この点を国税局税務相談室に質問してみました。
・・・しばらく電話口で保留された後、
『原始使用者等帰属の話でよろしかったでしょうか?』
という切り出しから、「雑所得になります」との結論を頂きました。
つまり、出願時報奨、登録時報奨、実績報奨のいずれもが、
原始使用者等帰属の下では『雑所得』になるようです。

恐らくは、使用料と同様の性格を有していることから、雑所得として取り扱うのだと思いますが、
今後も税務処理を変える必要がないので一安心です。
ただし、昇給として対価を支払った場合等、個別具体的な事例では異なる可能性がありますので、
その点にはご注意ください。

【関連記事】
「H16年改正後の職務発明訴訟の事例2」


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プロダクトバイプロセスクレームの拒絶理由通知対応 (2015.12.04)

プロダクトバイプロセスクレームの拒絶理由通知対応

「プロダクト・バイ・プロセス・クレームの「不可能・非実際的事情」の主張・立証の参考例」(特許庁)


プロダクト・バイ・プロセス・クレームに対する、「不可能・非実際的事情」の主張・立証の参考例が公表されました。
簡単にまとめると、
①発明の構造又は特性を製法以外で特定することができず、且つ係る構造又は特性を測定に基づき解析し特定することが不可能又は非実際的であること、または、
②製造される物の構造又は特性の具体的態様が多様に変化し、且つそれらの具体的態様を包括的に表現することができないこと、
③生成物が天然物由来のものであり、その物を構造又は特性により直接特定することが不可能又は非実際的であること、
④生成物が複雑で多種多様な構造を有し、その物を構造又は特性により直接特定することが不可能又は非実際的であること、
等を主張すれば、認められるようです(ただし、審査官が合理的な疑問を提示できる場合を除く)。

今後は、「不可能・非実際的事情」を意見書で主張すると共に、保険として製法クレームを追加するという対応が主流になりそうですね。

なお、具体的には、以下のような主張が例示されています。
・表面から○○μm以上の内部にのみ香気成分が存在する、といった文言により特定することは、活性炭の各々によってその構造やそれに伴う特性が異なることにも照らせば、不可能です。
・上記の特徴を有する香気発生源の構造又は特性を、測定に基づき解析することにより特定することも、本願出願時における解析技術からして、不可能であったといえます。
・薄膜の結晶の不均一性に照らすと、その違いに係る構造又は特性を文言により一概に特定することは不可能です。
・結晶性の差については、X線回折(XRD)を用いて測定することが原理的には可能かもしれませんが・・・、膨大
な時間とコストがかかるものです。
・分散状態の微視的な違いは、組成、粘度といった通常用いられる指標によっては区別することができません。
・微視的な分散状態が異なれば、気泡安定性の値も、当然に変化するため・・・現実的ではない回数の実験等を行うことを要するものであって、著しく過大な経済的支出を伴うものであります。
・、「嫌みのない自然な香り」というのは、人間の主観に依拠する指標であるため、定量的に数値範囲等で表記することはできません。
・香味向上剤を構成する極めて多数の微量成分のうち、どの範囲の化学物質が本願発明の優れた香味付加作用に寄与するのかについて分析、特定することは、分析対象の微量成分に含まれる化学物質の種類があまりにも膨大であり、かつ、検出限界未満の微量成分について分析することができないため、不可能です。
・得られる重合組成物の構造が複雑になりすぎて一般式(構造)で表すことは到底できないのが現状であり、このことは当業者の技術常識です。

ところで、「不可能・非実際的事情」の審査は、やっぱりざるでしたね。
まぁ、今回の公表で今後のサーチが不要になるのは助かります。

【関連記事】
「プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する審査運用について」


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新規事項の削除は目的外補正となる (2015.11.26)

新規事項の削除は目的外補正となる

審判請求の審理に関するQ&A「拒絶査定不服審判」

上のQ9によると、審判請求時の補正で、その新規事項を削除する補正は目的外補正、つまり、特17条の2第5項各号のいずれにも該当しないそうです。※1
そのため、補正却下されることも当然あり得ます。
実際、訴訟でも審判で通知された最後の拒絶理由通知に対する補正が、目的外補正として補正却下した決定が認められています。
例えば、平成23年(行ケ)第10133号です。

で、「特許・実用新案審査基準」の第I部 第2章 第3節 拒絶理由通知の「3.2.1 「最後の拒絶理由通知」と する 場合」によれば、いわゆる新規事項追加の拒絶理由通知は最後の拒絶理由通知にすることができます。※2

となると、自然に、追加した新規事項を削除する補正によって拒絶理由を解消することは不可能であり、詰んでしまうということです。
これって、制度不備じゃないですかね?
ただし、実際には運用で補正を受け入れてくれることがほとんどなので、よほどのことがなければ問題にはなりません。

あと、これも大事だけど、未だに「自明でないから新規事項」とか言ってくる審査官がいます。
自明であれば新たな技術的事項を導入しないものと言えるけど、自明でなかったからといって新たな技術的事項を導入するもの(つまり、新規事項追加)であるとは限らないと思うよ!


以下引用。
※1.Q9:審査段階で、特許請求の範囲の補正について、審査官から特許法第17条の2第3項(新規事項の追加)に違反すると指摘されたにもかかわらず放置したため拒絶査定を受けました。この事案について拒絶査定不服審判を請求する場合、審判請求時の補正で、その新規事項を削除する補正は、特許法第17条の2第5項各号に規定する要件を満たすことになるのでしょうか。

A9:審判請求時に新規事項の追加とされた発明特定事項を削除する補正をしても、通常、発明特定事項の削除は特許請求の範囲の拡張に該当するため、補正の目的要件(特§17の2⑤各号の要件)を満たさないものとされます。ただし、その記載のある請求項自体を削除する補正は可能です(特§17の2⑤一)。

※2.例 4:請求項に新規事項を追加する補正又は記載不備を生じるような補正がされた場合に、その旨のみを通知する拒絶理由通知


【関連記事】
「新規事項追加補正について審査基準の改訂」


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