弁理士試験-侵害の定義について (2014.06.30)

侵害の定義について

侵害の定義について - MMH
2014/06/26 (Thu) 17:01:53
今年はじめて論文試験を受験する者です。
短答受験ではこちらをよく拝見させていただきました。

さて質問があり投稿いたしました。
侵害の定義についてです。

「特許権の侵害とは、正当な権原又は理由無き第三者が業として特許発明を実施すること又は特101条に該当する行為をすることをいう。」

このような侵害の定義が一般的に使われているようですが、
この正当権原・理由は
侵害訴訟における被告の抗弁事由と私は解釈しています。

予備校の論文集の答案をみていたときですが、
通常実施権者の実施行為が侵害だと訴えられた際に
「権原なき者」を侵害の定義に含めているのに
文言侵害を肯定して侵害を認め、
通常実施権者であるから
権原があるとの抗弁を記載しているものを
目にしました。

確かに特許法の文理上、
68条等には正当権原は書いてはいませんが、
侵害の定義に正当権原の有無を含めてしまっているため、
この定義で
文言上の侵害を肯定することに、私は違和感を感じます。

この定義ならば正当権原があるならその時点で
侵害はないことになるのではないかと。
もし、文言侵害を肯定したいなら、侵害の定義に
「権原の有無」を含めるのは間違っているのではないかと、
そう思ったわけです。

私としては侵害の定義自体は
「第三者が業として特許発明を実施すること又は特101条に該当する行為をすること」
にとどめておいたほうがよいように感じます。

そして、
「侵害行為はあるが、正当権原・理由がある。」
この部分はこのように侵害の定義とは分けて、記載したほうが
侵害訴訟の主張立証責任の関係でもしっくりくる気もします。

この考え方は間違っていますでしょうか。


Re: 侵害の定義について - ベテラン受験生
2014/06/26 (Thu) 18:42:07
私は論文免除の受験生ですが、基本的な事項なので回答させていただきます。

あなたの考え方は、少なくとも、受験界の常識にも裁判実務にも沿わない考え方です。
「文言侵害」を「形式的な侵害」と取り違えて理解していませんか?

信頼できる予備校のテキストや裁判例(ex. BBS事件)では、
『形式的には特許権侵害に該当するようにみえる。・・・しかし、正当な権原又は理由があるため、特許権侵害は成立しない。』
との書き方がされているはずです。
「形式的」は、省略されることもありますが。

「侵害行為はあるが、正当権原・理由がある。」
このような書き方や言い方を本試の論文や口述ですると、一発退場(不合格点)となりかねません。

なお、「侵害」の概念には、「文言侵害」の他に「均等侵害」も含まれます。
論文で「文言侵害」と書くと、「この受験生は均等侵害の可能性を排除しているな」と試験委員に判断される危険がある点にご注意ください。
積極ミスは避けてほしいですね。


Re: 侵害の定義について - MMH
2014/06/26 (Thu) 20:24:08
ベテラン受験生さん、返信ありがとうございます。

たしかに
「侵害行為はあるが、正当権原・理由がある。」
は、まずい言い方かもしれません。

私としては過去問を解いていると侵害に関する問題が多く、
それも権利者側の主張と
侵害者側の主張で分けられていたりするので、

原告主張の部分(請求原因)と被告主張の部分(抗弁)を
うまく分けたいなと思ったわけです。

そうすると、侵害の定義に正当な権原を含めると
抗弁事由まで権利者側の主張の時点で
書いてしまうことになるので違和感を感じたわけです。

なんとかうまく書くコツに辿りつきたいと思って、
質問をさせてもらいました。

ちなみに、文言侵害という言葉は、
今回私が疑問に思うきっかけになった
ある予備校(有名どころです)の論文過去問集の答案例では
何か所も使われています。
「文理解釈上、侵害にあたる」という意味と
同義であると私は思うので、
均等侵害でなくても使うことは構わないように思うのですが。
均等侵害の場合は文理解釈上、
侵害にあたらないから問題になるんですよね。

形式的に侵害であるという場合は例外を前提としていて、
例外に該当するような場合に、
こういった書き方がされるのではないのでしょうか。

今回の私の疑問は「侵害」という文言の解釈の話
であるので、文言侵害か否かとする予備校答案例の
言葉遣い自体に準じても、
あまり問題でないように感じていますが、
いかがでしょうか。

ちなみに、その論文集には
「先使用権の性格は抗弁権であることから、
ここでいう権原に含めず、
文言侵害の認定にあたっては先使用権は考慮しないのが
受験界では一般的である」との解説もあります。

でも、ほかの通常実施権などの実施権も実施権者が訴えられたら抗弁権として主張すると思うのです。
そうすると上記解説も鑑みれば、
権原について侵害の定義で書く必要あるのかと
思ったわけです。

ただ、ベテラン受験生さんがおっしゃるように
「侵害行為はあるが、正当権原・理由がある。」
はちょっとへんですよね。


Re: 侵害の定義について - ベテラン受験生
2014/06/26 (Thu) 21:49:49
以下、簡単に述べますが、
論文で侵害の定義を書く際に、
「正当な権原又は理由無き」
が抜けると、これは減点対象となる可能性が高いです。

また、
「文理解釈上の侵害」は、「文言侵害」と同一、
「侵害」は、「文言侵害」と「均等侵害」とを含む概念、
です。
問題文から文言侵害しか想定されない場合には
「文言侵害」と記載しても全く問題ありませんが、
均等侵害の可能性がある場合には、
単に「侵害」と書いておくことをお勧めします。
もちろん、ケースバイケースですが。

私の理解では、
先使用権(特79条)は「正当な権原又は理由」に該当する抗弁権です。

論文、頑張ってください。


Re: 侵害の定義について - MMH
2014/06/26 (Thu) 23:20:40
ベテラン受験生さん、ありがとうございました。


Re: 侵害の定義について - MMH
2014/06/27 (Fri) 13:41:46
私自身で質問してましてあれですが、
友人に弁護士がいたので、訴訟分野だしと思い
この質問をしてみましたところ、
一応自分なりに納得できたので、
そのことを一応記載しておきます。

定義と立証責任(要件事実)は別だから、
正当な権原を定義に含めるのは問題ない。
だから、定義をふたつにわける必要もない。

実に単純明快で納得できました。
予備校の論文集の解説の書き方に惑わされていたようです。
(先に書いた先使用権のことではありますが、
抗弁で書くことは定義に含めてはまずいんじゃないかと
私が思ってしまった解説があったので)

予備校答案の
文言侵害の件も、やはり私の勘違いがあったようで

特許請求の範囲記載の文言を侵害しているか
否かを言っている
とのことでした。冷静に考えればそうですよね。。

そうすると特許請求の範囲には
当然、正当権原の有無なんて現れてこないので、
文言侵害あり、だけど正当権原があるという
書き方になっているんですね。

お騒がせしました。


Re: 侵害の定義について - 太陽王
2014/06/28 (Sat) 14:16:39
すいません、便乗で質問させてください。

LECの答練で「正当な権原又は理由」と書いたところ「権原又は正当な理由」と赤ペンを入れられたことがあります。

「正当な」は「権限」と「理由」の両方にかかると思っていたのですが、実際のところどうなんでしょうか。どう書くのがよいのでしょうか。

以上、よろしくお願いします。


Re: 侵害の定義について - ベテラン受験生
2014/06/28 (Sat) 16:29:03
私も、便乗質問をさせていただきます。

真偽は不明ですが、某予備校講師が以下のことを受講生に説明したそうです。
『「権原」の定義の中に「正当」という文言が含まれているので、「正当な権原」は正確な表現ではない。単に「権原」と書くだけでよい。』

これが正しいならば、太陽王さんの上記質問に対しては
 「正当な」は「権限」に係るべきではない、
という回答となります。

某予備校講師のいうように、有斐閣の法律学小辞典では、
権原は、
『ある法律行為又は事実行為をすることを正当とする法律上の原因をいう』
と定義されており、
「正当」という文言が含まれています。

しかしながら、その権原の定義は、「法律上の原因」が「ある法律行為又は事実行為をすることを正当とする」ことを必要としていますが、「法律上の原因」自体が正当であることを要求していません。

「法律上の原因」の典型例としては、実施権(特77条,特78条)が挙げられます。たとえば、実施権が承諾書の偽造や威嚇等により不正に生じた場合、「法律上の原因(=実施権)」は正当ではなく、「正当でない権原」が存在し得る状況があるようにみえます。
このため、「特許権の侵害とは、正当な権原~」と書くべきではないでしょうか?

以下の教科書レベルの書籍や裁判例では、「正当な権原」又は「正当権原」という文言が使われています。

知的財産権侵害要論第5版(竹田稔),p.185:
「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(六八条本文)。この規定は、第三者が正当な権原なく業として特許発明を実施する行為は特許権侵害となることを意味すると同時に・・・意味している。」

平成23年法改正解説書(特許庁),p.41:
「他人の発明について正当な権原を有しない者(発明者でも、発明者から特許を受ける権利を承継した者でもない者)が特許出願人となっている出願は、冒認出願と呼ばれており、拒絶理由を有するものとされている(特許法第49条第7号)。」

ジピリダモール事件(東京高裁S57.6.30)
「特許法第68条は,『特許権者は,業として特許発明の実施をする権利を専有する。』と規定しているのであるから,特許権者の承諾を得るなどの正当権原なくして業として当該特許発明を実施する行為は,当然,当該特許権を侵害する行為であると解される。」


Re: 侵害の定義について - 初学者
2014/06/28 (Sat) 19:55:42
太陽王さま、
私も同じ経験があります。
それ以来、正当な理由または権原なき、というように書いています。

正当な権原となると、正当でない権原もあることになります。
ちょっと妙に感じるのです。正当だから権原なわけで。
理由には、正当なものとそうでないものがあるのはわかります。
しかし、かといって、正当な権原というのもあるかもしれません。

そこで、正当な理由または権原なきと書くと、正当が権原にかかるようにも、かからないようにも読めるのでごまかせますから。


Re: 侵害の定義について - 管理人
2014/06/30 (Mon) 12:15:59
ベテラン受験生さん
回答へのご協力ありがとうございます。

さて、ご質問ですが、まず、侵害の定義を書く際には 「正当な権原又は理由無き(若しくは「権原又は正当な理由」等)」を書いた方がよいと思います。
これがないと、不理解であると誤解されて減点対象となる可能性が高いと思われます。

また、「文理解釈上の侵害」、「文言侵害」等は、一般に非侵害である場合に使われる用語であり(「文言上侵害するが正当な理由があるので非侵害等)、上記侵害との定義とは矛盾しません。

次に、太陽王さんの質問ですが、「正当な権原又は理由」という書き方で良いと思います。
また、私見としては「権原又は正当な理由」でも大丈夫だと思いますが、語呂が悪い気がしますね。

なお、「権原」と書いた場合に、「正当でない権原」を含むというご指摘は、確かにあり得る解釈だと思います。
しかし、「正当な権原」の「正当な」は、「権原」の正当性を強調する程度の意味かと思いますので、減点までには至らないように思います。
(侵害に関する出題で、一々「正当な権利」等と書かないと「正当でない権利」を含むと解釈されてしまうとは思えません)


【関連記事】
「特許権の侵害(特68条)」

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