弁理士試験-先使用権者による消尽又は援用 (2014.02.24)

先使用権者による消尽又は援用

無題 - 杏子
2014/02/18 (Tue) 21:42:41
お世話になります。弁理士試験とは直接関係ないのですが、興味本位で以下ご教示頂けないでしょうか。

A社は製品Xについて特許権を持っています。
しかしB社は製品Xと同じ物をA社の特許出願以前から製造・販売しており、製品Xは公然と実施されていました。
つまりB社は先使用権を有しており、またA社の特許権は無効理由を有しています。

しかし、A社とB社は市場で棲み分けがされており、商売敵ではありません。
よって互いに特許に関して不干渉を貫いています。

ここで、C社がB社から製品Xを購入・転売しようとしています。
C社はA社と市場で競合する商売敵です。

さて、B社の製品Xを製造・販売については先使用権があるわけですが、
C社がそのB社から製品Xを購入・転売する時、A社の特許を侵害するでしょうか。

(B社から情報を得れば、C社はA社の特許に対して無効審判を請求できますが、無効理由を立証するための情報を揃えたりするところでハードルがあるようで、できれば無効審判まではしたくない。)

自分の仕事の周囲でこれと似たような(大分簡略化してます)話があり、弁理士を目指す自分も恥ずかしながらよくわからなかったので聞いてみました。

※私は知財部所属でも特許事務所勤務でもなく、上記の話も私の仕事には直接関係ありません。あくまで興味本位での質問です。

※個人的な考えは、「C社の転売はAの特許を侵害しない」です。もし侵害するとすると、一般論として、先使用権を持つメーカーの製品をどの卸会社も取り扱えなくなってしまうためです。
ただ上記ケースではAもCも同格のメーカーであり、完全な競合関係です。メーカーvs卸売会社等ではないので、なんだか気持ち悪いなぁと思っています。

長々と済みません、以上です


Re: 無題 - 太陽王
2014/02/18 (Tue) 22:39:11
おもしろいですね(^^)

通常実施権者であるB社の販売により特許権が用尽するため、B社から製品Xを購入しそれを転売するC社の行為は侵害に当たらない。
と私は予想します。皆様のご意見やいかに。


Re: 無題 - 杏子
2014/02/18 (Tue) 22:53:52
>太陽王さん
ありがとうございます。直感的には私もそう思っています。

なお、派生パターンとして以下も考えてみて頂けると幸いです。
・A社の特許:製品Pと製品QからなるシステムXに関する特許
・B社は自前の製品P、Qを用いてシステムXをAの出願以前から公然と実施
・C社は「B社から購入した製品P」と「自前の製品Q」を用いてシステムXを実施したい
※製品Pと製品Qはそれぞれ公知。

この場合は、CのXの実施は、Aの特許を侵害する、と思ってます(その特許は無効理由を有してますが)。


Re: 無題 - 初学者
2014/02/18 (Tue) 23:23:29
なお、派生パターンとして以下も考えてみて頂けると幸いです。
・A社の特許:製品Pと製品QからなるシステムXに関する特許
・B社は自前の製品P、Qを用いてシステムXをAの出願以前から公然と実施
・C社は「B社から購入した製品P」と「自前の製品Q」を用いてシステムXを実施したい
※製品Pと製品Qはそれぞれ公知。

この場合は、CのXの実施は、Aの特許を侵害する、と思ってます(その特許は無効理由を有してますが)。

私もC社によるXの実施はAの特許権を侵害すると考えます。
A社の持つ特許発明の技術的範囲にあるシステムをC社は実施してるわけですから、侵害では
ないでしょうか。
C社の抗弁としては、104条の3や公知技術の主張が考えられますかね。

また、B社の製品Pの販売は条文上間接侵害にあたるように思いますが、この場合どうなるでしょう。
製品Pと製品QからなるシステムXにB社は先使用による通常実施権を持っていますが、
Xを構成する部品にまで先使用による通常実施権が認められるかどうかって感じでしょうか?

私は、システムXに対する通常実施権は、システムXを構成する製品PとQにも適用されるので、正当権原を
持つB社による製品Pの販売は間接侵害にあたらないと思います。
(たとえ、製品Pが101条1号、2号の要件を満たしていても)


Re: 無題 - 管理人
2014/02/20 (Thu) 17:48:49
太陽王さん、初学者さん
回答への御協力ありがとうございます。

さて、結論は「C社の転売はAの特許を侵害しない」でよいと思います。
論理構成としては、先使用権による特許権の消尽ととらえる説と、
※例えば、プラズマエッチング装置事件:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070730110907.pdf
先使用権を援用する説とがあります。
※例えば、移載装置事件:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/CB2B6DFC02815F904925710E0008E31D.pdf

特許権の消尽ととらえる説では、先使用権を有する製造業者が販売したことにより、特許権者による同行為と同様に特許権が消尽し、当該製品を使用する行為は特許権を侵害しないと解します。
先使用権を援用する説では、先使用権を有する製造業者から製品を購入することが事実上困難となること、ひいては先使用権者の利益保護が不十分となることを理由に、先使用権を援用して特許権の侵害とならないことを主張できると解します(ただし、販売業者が先使用権を援用して製造することはできない)。

なお、派生パターンについての私見は以下の通りです。
上記の消尽説を採用し、先使用権者による譲渡により、特許権者による同行為と同様に特許権が消尽すると解します。
その上で、先使用権者が譲渡した製品につき加工がされ、特許製品が新たに製造されたものと認められるときには特許権を侵害し、そうでなければ特許権を侵害しないと解します。
具体的には、欠けていた特許発明の本質的部分に係る構成が充足され、特許製品が新たに製造されたものと認められるときには特許権を侵害すると解します。

これを事例に当てはめると、製品Pが特許発明の本質的部分であれば、C社による自前の製品Qの追加は特許製品の新たな製造に該当せず、A社の特許権を侵害しないと解します。
一方、製品Qが特許発明の本質的部分であれば、C社による自前の製品Qの追加は特許製品の新たな製造に該当し、A社の特許権を侵害すると解します。

このように解さない場合、製品Qが汎用品である場合にも特許権の侵害が成立して妥当ではないからです。
なお、特許権者による譲渡ではないことから、特許権者による特許製品との同一性は問われないと思われます。

とはいえ、題意としては製品Pと製品Qの組み合わせが本質的部分なのでしょうから、C社による自前の製品Qの追加は特許製品の新たな製造に該当し、A社の特許権を侵害するのではないでしょうか。


Re: 無題 - 杏子
2014/02/20 (Thu) 23:25:53
>初学者様、管理人様

ご回答ありがとうございます。大変勉強になりました。
このような有名な判例があったのですね。
(しかもサムスンvsパナソニックとは!)

個人的には先使用権の消尽と援用では援用の方が理解しやすいです。
特許権の消尽であれば、特許権者が独占販売した時点で特許権者は権利を使い切った!という感じ理解していました。
先使用権の消尽の場合は、特許権者が1度も権利行使できていない?のでややシックリ来づらいです。
先使用権者も特許権者の仲間と考えたらよいのでしょうか?(実際は敵対関係の方が多いと思いますが)

派生パターンの方、実際の件と比べると、何とも微妙なところだなぁと思っています。
特許の請求項は、
「製品αと製品βと製品γから構成されるシステム」の様な感じであり、その発明を特許発明足らしめているのは特殊な製品α。
C社は特殊製品αは先使用権者から購入し、様々なメーカーが作っている製品β、γは自社製品を使う感じです。(β、γはPCモドキと思ってください)
でも、請求項に明示的にβやγが含まれており、β・γが汎用品であっても、それがないとシステムが成り立たない以上、発明の本質的部分に含まれるのですかね。(もう少し言うと、PCモドキのβ・γからネットワーク経由で受け取った情報を、αが賢い情報加工/転送をすることで、ネットワーク全体として新たな効果を奏する、という感じ。)

でも必ずしも侵害になるわけでもないというのは知らず、大変大変大変勉強になりました。


【関連記事】
「国内消尽における特許製品の同一性」

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