弁理士試験-意匠の利用と論文試験 (2013.07.19)

意匠の利用と論文試験

2013/04/11追記
本記事についての私のコメント中、「先願に係る登録意匠の利用は、意匠法26条に違反しており違法であるから、民法において権利侵害に行為の違法性が含まれることにならうと、先願に係る意匠権の侵害と解される」との発言は冗談です。
また、「利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施しているとみなすことができる」という発言は、私見であり通説とは反すると思われます。
よって、いずれも論文試験では、絶対に記載しないで下さい


意匠の利用について考えさせられるきっかけがあり、「いつ書くの?いまでしょ!?」って俺のゴーストが囁くからちょっと書いてみる。

まず、利用関係が成立する場合に先願に係る意匠権の侵害に当たるということに争いはないと思われる。
また、利用関係の定義について、
「他人の登録意匠等の内容をそっくりそのまま自己の意匠の中に取り込むことをいい、一方を実施すると他方を全部実施することになるがその逆は成立しない関係」※1
が判例法で認められたというと過言かもしれないが、少なくとも受験界で認められたいう点では過言ではないだろう。
※1.もしくは「ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠等の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠等とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠等を実施する関係」。

一方、それ以外の点は、(少なくとも受験界では)まだ正解が定まっていない。
特に、意匠権侵害の根拠として意23条と意26条とが挙げられており、未だ議論の途中にあるように思われる。
この点、学習机事件は重要判例であるものの下級審であり、今後否定される可能性も考慮すれば殊更この事件との整合性に拘わることはお勧めしない(筋さえ通っていればこの判例との整合が多少取れなくとも良いと思う)。

とまぁ、個人的には筋が通っていればいずれであってもよいとは思うのだが、意26条で筋が通っている説明をまだ見たことがないので個人的には意23条をお勧めする。
また、受験生の立場からは、論文試験でどの問題までを「利用」で回答するのかも考えて選択して欲しいと思う。

というわけでまずは論文試験での射程の話から。
論文試験で「利用関係が成立」という立場で回答する主なケースとしては以下のものが考えられる。
①ケース:登録意匠等が、先願に係る他人の登録意匠等を利用する(いわば狭義の利用)
②ケース:未登録意匠が他人の登録意匠等を利用する
③ケース:組物の意匠が、その(先願に係る)構成物品の登録意匠等を利用する
④ケース:全体意匠が、(先願に係る)部分意匠の登録意匠等をそっくりそのまま取りこんでいるが、全体としては非類似である
⑤ケース:形状と模様又は色彩との結合意匠が、(先願に係る)形状のみの登録意匠を利用する

続いて、利用を論述する場合の概要。
意23条の論述例①
①イ号意匠と登録意匠の類比判断(イ号意匠とは被疑侵害者が実施した意匠のこと)
②非類似であれば利用関係の成立を判断
③利用関係が成立する場合、上記利用関係の定義を述べて、イ号意匠の実施により登録意匠が実施されると解釈※2
④結論。意23条により意匠権侵害
※2.イメージとしては、利用関係が成立する場合には、イ号に係る物品と登録意匠に係る物品とのそれぞれの意匠が重畳的に実施されるという感じ。

意23条の論述例②
①イ号意匠と登録意匠の類比判断
②非類似であれば利用関係の成立を判断
③利用関係が成立する場合、何らかのロジックでイ号意匠の実施を登録意匠の実施と解釈※3
④結論。意23条により意匠権侵害
※3.イメージとしては、イ号意匠に係る物品は、なんだかんだ言っても結局登録意匠に係る物品であるという感じ。

意26条の論述例
①イ号意匠と登録意匠の類比判断
②非類似であれば利用関係の成立を判断
③利用関係が成立する場合、意26条に基づき意匠権侵害と解釈※4
④結果、意26条により意匠権侵害
※4.イメージとしては、利用関係が成立する場合、登録意匠(又はその類似意匠)の実施ではないが意26条によって意匠権侵害とみなされるという感じ(実質的には判例法が根拠かねぇ?)。

ここで、各論述に対する反論を検討する。
意23条の論述例①に対しては、「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」という状態が、意匠法上予定されてないという反論が考えられる。
これに対しては、被疑侵害者が一意匠である組物の意匠を実施するケースにおいて、構成物品に係る複数の登録意匠があった場合には当該複数の登録意匠を同時に実施することになると考えられるので(そうだよね?)、上記状態は意匠法上予定されていると主張できそうだね。

意23条の論述例②に対しては、「なんだかんだ」って何だよ!という反論が考えられる。
これに対しては、「学習机!学習机!!」と、連呼することができそうだね。

意26条の論述例に対しては、登録意匠(又はその類似意匠)を実施しないのに意匠権の侵害となるのは不自然だという反論が考えられる。
これに対しては、原則として意匠権は登録意匠(又はその類似意匠)を独占的に実施できる権利、及び一定の予備的行為を禁止できる権利であるが、意26条(判例法)を根拠に、利用関係が成立する場合における実施行為も、一定の予備的行為と解釈して禁止できると主張できそうだね。※5
※5.ただし、各判例では想定していない解釈であると思われる。仮に想定していれば、その旨の言及があるであろう。また、意38条のような規定もなく侵害とみなすのは意匠法上、不自然である。

最後に結論。
どれでもいいけど、個人的には意23条の論述例①をお勧めする。
その理由は、意23条の論述例②は論外として(④・⑤ケースなら使えるかも)、
意26条の論述例の場合、意匠権者が禁止し得る一定の予備的行為には「利用関係が成立する場合における実施行為」が含まれることを説明しないと、説明不足になってしまうからである。※6
あと、以降に問題が続く場合には、被疑侵害者の行為が予備的行為であるという立場を維持するのも混同が生じそうで難しいと思う。

なお、④ケースは「非類似だから非侵害」の結論でも正解だと思うが、問題文に「利用」とか「そっくりそのまま」とかがあれば、利用関係の定義ぐらいは書いた方がよいと思う。
※6.少なくとも私なら、「意匠権侵害(意26条)」とか言われても、意26条の文言から意匠権を侵害する結論を直接は読み取れない。なお、判例(判例法)を根拠にするなら、条文を挙げるのはなおさらおかしい。

真実はいつも一つ・・・とは限らない。
当然、異論は認めます。

【関連記事】
「未登録意匠での利用」

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「ここで、各論述に対する反論を検討する。
”意23条の論述例①に対しては、「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」という状態が、意匠法上予定されてないという反論が考えられる。
これに対しては、被疑侵害者が一意匠である組物の意匠を実施するケースにおいて、構成物品に係る複数の登録意匠があった場合には当該複数の登録意匠を同時に実施することになると考えられるので(そうだよね?)、上記状態は意匠法上予定されていると主張できそうだね。”

組物の意匠の実施は、組物として一体で類否判断されます(権利一体の原則)。よって上記のような主張はできないと考えます。また組物の意匠が未登録意匠である場合は、権利一体の原則が適用されないので、各物品毎に登録意匠との類否判断がされると思います。

従って上記例では、「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」ことは正当化されないと考えます。

そもそも「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」というのは、意匠の分離観察に他ならず、このような観察手法は、意匠の利用の成否では認められていても、意匠の類否判断において認められていないのは、一貫した司法の判断です(意匠審査基準もそれに従っています)。

あともう一つ。
「この点、学習机事件は重要判例であるものの下級審であり、今後否定される可能性も考慮すれば殊更この事件との整合性に拘わることはお勧めしない(筋さえ通っていればこの判例との整合が多少取れなくとも良いと思う)。」

これについてですが、確かに学習机事件は下級審ですので、今後上級審で否定される可能性はあります。

しかし学習机事件に限らず、先願登録意匠を利用する意匠の実施が、全体観察すると当該登録意匠とは非類似だが、分離観察に基づいて当該登録意匠を利用するので侵害と判示するのは、一貫した司法判断です(鋸用背金事件、減速機付きモーター事件等)。

いくら下級審の判例だからといって、このような司法判断の積み重ねを無視又は軽視するというのは如何がなものでしょか? あくまで判示事項の妥当性を判断すべきだと思います。そして下級審でも論理的に妥当な判決はあります(例.商標法における巨峰事件)。

あと最後に受験生向けに書くなら、LECは以下のように学習机事件を理解しているようなのでご参考までに紹介しておきます。

http://www.lec-jp.com/benrishi/challenge/ch101228.shtml

コメントありがとうございます。

以下、反論いたします。

> 組物の意匠の実施は、組物として一体で類否判断されます(権利一体の原則)。よって上記のような主張はできないと考えます。また組物の意匠が未登録意匠である場合は、権利一体の原則が適用されないので、各物品毎に登録意匠との類否判断がされると思います。

の部分ですが、
被疑侵害者の行為が変わらないにも関わらず、被疑侵害者の実施意匠が登録意匠か未登録意匠かによって構成物品に係る他人の意匠の実施になったりならなかったりするという考えは首肯できません。
また、組み物の場合に限って、未登録意匠による登録意匠の利用が成立しないのも不自然です(理由がない)。

なお、仮にそのような解釈が成立するならば、例えば、被疑侵害者が組み物に係る登録意匠を実施していた場合に、侵害訴訟中に被疑侵害者の意匠権が無効消滅したら、請求の理由を変える必要が生じるといった問題が発生します。

ただし、もし別の理由があれば、「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」ことが正当化されないという結論には同意し得ます。


> そもそも「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施される」というのは、意匠の分離観察に他ならず、このような観察手法は、意匠の利用の成否では認められていても、意匠の類否判断において認められていないのは、一貫した司法の判断です(意匠審査基準もそれに従っています)。

「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施されるというのは、意匠の分離観察に他ならず」の部分は否定します。
利用関係が成立する場合に「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施されるとみなす」というのは、意匠の分離観察に基づく類否判断をしなくとも、意匠の分離観察に基づく利用関係の成立を判断すれば済む話です。
よって、私はなおすずかけさんがご指摘するような前提を取っておりません。

コメントありがとうございます。

まず、利用関係が成立する場合に先願に係る意匠権の侵害に当たるという結論と、利用関係の定義については、判例に基づいており軽視も無視もしていません。
私の上記説明は、「判示事項の妥当性を判断」を大事にすべきであるという考えに立って、受験生に対して「判例との異同の議論に拘泥するな」と警告しています。

なお、こういう議論の場で度々見られるのですが、判例を持ち出してそれとの異同に基づいて他説を否定するという手法は、相手を言い負かしたいという場合を除いて不適切です(そもそも判例の射程の議論をする必要もあるのにほとんどの場合はこれが行われない)。

蛇足ですが、私が上記警告をしているのは、意26条説に判例との矛盾を感じているからです。
ただし、法律論として、判例と矛盾しても筋が通った説明ができれば構わないとは思います。

また、LECの理解と評価は存じておりますが、意23条説でも矛盾なく説明できると思います。

あと最後に、減速機付きモーター事件は「利用するので侵害」とは判示していなかったと記憶しています。

遅くなりましたが簡単に。

>私の上記説明は、「判示事項の妥当性を判断」を大事にすべきであるという考えに立って、受験生に対して「判例との異同の議論に拘泥するな」と警告しています。

同意します。

>あと最後に、減速機付きモーター事件は「利用するので侵害」とは判示していなかったと記憶しています。

減速機付きモーター事件は、以下のように判示しています。
「原告は、本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は、被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり、減速機部分は,ねじ でモーター部分と固定されており、減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから,被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも、利用関係の判断に当たっては、減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが、利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)。」

つまり、減速機モーター事件は、利用関係の成否においては分離観察が行われるが、意匠の類否観察においては全体を観察すべきであることを判示しているのです。これを無視して、26条違反とするのは妥当ではなく、23条違反とするのは、まさしく「判例を持ち出してそれとの異同に基づいて他説を否定するという手法は、相手を言い負か」そうとする態度に他ならないでしょう。

Re: タイトルなし

わざわざコメント頂きありがとうございます。

さて、「判例を持ち出してそれとの異同に基づいて他説を否定するという手法・・・」の件ですが、私は判例を持ち出して意26条説を否定したりしてません(そもそも、判例を持ち出してませんし、26説も一部条件の元で肯定してます。)。
どなたか別の人と、勘違いしてませんか?

なお、昔の話なのでお忘れのようですが、利用関係が成立する場合に「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施されるとみなす」というのは、意匠の分離観察に基づく類否判断をしなくとも、意匠の分離観察に基づく利用関係の成立を判断すれば済む話です。
というわけで、「利用関係の成否においては分離観察が行われるが、意匠の類否観察においては全体を観察すべきであることを判示しているのです。これを無視して・・・」の件は、私の意見に対しては意味のない指摘です(つまり、判例を無視してません)。

>なお、昔の話なのでお忘れのようですが、利用関係が成立する場合に「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施されるとみなす」というのは、意匠の分離観察に基づく類否判断をしなくとも、意匠の分離観察に基づく利用関係の成立を判断すれば済む話です。

まず指摘したいのは「複数の物品に係る複数の意匠が重畳的に実施されるとみなす」という、意匠法7条に反する状況を意匠権侵害の有無を判断する際に想定してよいのでしょうか? 
また「意匠の分離観察に基づく利用関係の成立を判断」するには、「意匠の分離観察に基づく類否判断をしな」ければなりません。それは学習机事件で判示された「意匠の利用」の定義から明らかだからです(もっともbenrishikozaさんは、学習机事件を一地裁の判例として軽視しているようですが)。

判例を無視しているというのもありますが、こういう言葉をもてあそぶ一種の詭弁はやめるべきです。

Re: タイトルなし

さらにご意見を頂きありがとうございます。
まず指摘したいのは、意匠権侵害の有無を判断する際に想定するのは、意7条ではなく意24条1項だと思います。

また、これを分かりやすくいうと、先願に係る意匠権の「意匠に係る物品」と、被疑侵害者が実施している意匠に係る物品との類否判断が問題になるということです。
そして、私の説の立場で意24条1項に反するとすれば、非類似の物品に対して効力が及ぶ場合がそれに該当します。
しかし、「重畳的に実施される」という立場に立てば、非類似の物品ではなく、その実施の際に利用された物品(いわばイ号の一部)に対して効力が及ぶに過ぎないので、意24条1項には反しないと解します。

また、なおすずかけさんは、「利用関係の成立の判断」と、「登録意匠とイ号意匠との類否判断」を同視しているようですが、私はこれらが異なるものだと思います。
つまり、利用関係の成立の判断においては当然に分離観察が許され、「登録意匠とイ号意匠との類否判断」では原則として分離観察が許されないというだけです。
これは「言葉遊び」で済むような論点ではありませんよ。

蛇足ですが、判例の解釈が相違するのは至極普通のことに過ぎないのに、それだけで判例を無視している、軽視しているなどと断定されるのは心外です。
何度も言っていますが、そもそも私は自説が判例から乖離しているとは思っておりません、ただ単になおすずかけさんと意見が異なるだけです。

最後に、なおすずかけさんの立場では、登録意匠(又はその類似意匠)を実施しないのに、後願に係る意匠権者が意匠権を侵害することになってしまい明らかに不自然です。
そして、意26条には、利用関係が成立する場合に意匠権の侵害とみなす旨の規定もありません。
この辺りについて、説明が可能ならばご教示頂きたいです。
(なお、意匠権の侵害とお考えなら、「意匠権」の定義もぜひ御教示頂きたいですね。)

さらに、(「判例を軽視」と言われたので敢えてあげますが)学習机事件では、「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らかであり、結局、被告意匠は本件登録意匠に類似する意匠を利用するものである」と述べられており、イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施することになると明確に指摘しています。
これを「重畳的に実施」と表現するのが正しいのかはさて置き、なおすずかけさんの立場では、「イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施すること」を説明できないはずです。
これも、説明が可能ならばご教示頂きたいです。

>さらにご意見を頂きありがとうございます。
まず指摘したいのは、意匠権侵害の有無を判断する際に想定するのは、意7条ではなく意24条1項だと思います。

意匠法7条と24条1項は二律背反の関係にあるわけではありません。つまり両方満たす必要があります。あなたの主張は両者が二律背反であることを前提として、「意匠権侵害の有無を判断する際に想定するのは、意7条ではなく意24条1項だと思います。」と述べていますが、そうではなく、両方とも想定しなくてはならないのです。

>また、これを分かりやすくいうと、先願に係る意匠権の「意匠に係る物品」と、被疑侵害者が実施している意匠に係る物品との類否判断が問題になるということです。

こんなことはあなたに一々指摘されるまでもなく当然のことです。

>そして、私の説の立場で意24条1項に反するとすれば、非類似の物品に対して効力が及ぶ場合がそれに該当します。
しかし、「重畳的に実施される」という立場に立てば、非類似の物品ではなく、その実施の際に利用された物品(いわばイ号の一部)に対して効力が及ぶに過ぎないので、意24条1項には反しないと解します。

「しかし、「重畳的に実施される」という立場に立てば」としてご自身の主張の正当性を説明していますが、この前提の妥当性が問われているのに、それを「前提」として不問にふすのは適切ではありません。

>また、なおすずかけさんは、「利用関係の成立の判断」と、「登録意匠とイ号意匠との類否判断」を同視しているようですが、私はこれらが異なるものだと思います。

同視していません。同視していないからこそ、「意匠の全体観察」を原則として、例外的に「意匠の分離観察」を意匠の利用の場合にのみ許していると考えているのです。どうしたら私の主張を先に引用したように読めるのですか? 人と議論するときには相手の主張を適切に理解するのは大前提です。

>つまり、利用関係の成立の判断においては当然に分離観察が許され、「登録意匠とイ号意匠との類否判断」では原則として分離観察が許されないというだけです。

その通り。

>これは「言葉遊び」で済むような論点ではありませんよ。

それはあなたの日本語能力が、意匠の利用を論じられるのに充分ではないからです。

>蛇足ですが、判例の解釈が相違するのは至極普通のことに過ぎないのに、それだけで判例を無視している、軽視しているなどと断定されるのは心外です。

確かに「判例の解釈が相違するのは至極普通のこと」ですが、それも程度問題です。その程度が尋常ではないと判断したので、これまで議論してきました。

>最後に、なおすずかけさんの立場では、登録意匠(又はその類似意匠)を実施しないのに、後願に係る意匠権者が意匠権を侵害することになってしまい明らかに不自然です。
そして、意26条には、利用関係が成立する場合に意匠権の侵害とみなす旨の規定もありません。
この辺りについて、説明が可能ならばご教示頂きたいです。
(なお、意匠権の侵害とお考えなら、「意匠権」の定義もぜひ御教示頂きたいですね。)

本当にあなた法学部出身ですか? 民法と意匠法の関係は、一般法と特別法の関係にあります。権利侵害には、民法では、行為の違法性が含まれるとしています。それにならうと、意匠の利用は、先願意匠権者の権利を規定する意匠法26条に違反していますから、侵害と解されるでしょう。これは、「注解意匠法」にも牛木先生の本にも同趣旨の記載があります。

意匠権の定義についても同様。「権利」とは何か? と問うならば一般法である民法を参照すべきと考えます。

ちなみに学習机事件は以下のように判示しています。
意匠法第二六条は登録意匠相互間の利用関係について規定するが、意匠の利用関係のみについていえば、他の登録意匠を利用する意匠はそれ自体必ずしも意匠登録を受けている意匠である必要はなく、意匠の利用関係は登録意匠と未登録意匠との間にも成立するものであり、他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した未登録意匠の実施が、他人の当該意匠権の侵害を構成することは勿論である。」

>さらに、(「判例を軽視」と言われたので敢えてあげますが)学習机事件では、「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らかであり、結局、被告意匠は本件登録意匠に類似する意匠を利用するものである」と述べられており、イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施することになると明確に指摘しています。
これを「重畳的に実施」と表現するのが正しいのかはさて置き、なおすずかけさんの立場では、「イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施すること」を説明できないはずです。
これも、説明が可能ならばご教示頂きたいです。

勝手に私の主張をねつ造するのはやめてください。「イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施すること」は、「構成要素」を分離観察によって一意匠と見なした場合に成立すると言うことです。これは学習机事件でも、分離観察の妥当性を述べている箇所で言及されています。

Re: タイトルなし

さらにご回答を頂きありがとうございます。

さて、枝葉末節は後にして本論からお付き合いください。
まず、「意匠の利用は、先願意匠権者の権利を規定する意匠法26条に違反していますから、侵害と解されるでしょう。」とおっしゃっていますが、侵害とみなす旨の規定がないのに侵害と解するとは斬新な意見ですね。
そいういう御意見ならば首肯できます。

なお、私ならば意匠法26条違反が登録意匠の実施に当たらないならば、意匠権の侵害ではなく、強いて言うなら法律上保護される利益の侵害ではないかと考えます。
(言うまでもなく登録意匠の実施に当たれば、意匠法23条に基づき意匠権侵害で済む話です。)

また、「イ号意匠を実施すると先願に係る登録意匠を実施すること」について、日本語が難しすぎて伝わらなかったようですので簡潔に言い直します。
結局、なおすずかけさんの解釈では、学習机事件で被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施していたのですか?してなかったのですか?

あとは蛇足ですが、意匠法7.条と24条1項について、意匠法7条のみを挙げられたので誤解してしまいました。
なお、私たちのレベルで条文を挙げるならば、そこまで気を使わなくとも意匠法24条1項で話は済みますよ。

また、「こんなことはあなたに一々指摘されるまでもなく当然のことです」の件ですが、これは当然のことをわざわざ指摘しないと、後述する権利侵害の話のように、なおすずかけさんは、こちらが知らないと誤解する傾向があるので、こちらが理解していることを明らかにするため敢えて指摘しました。

また、「重畳的に実施されるという立場に立てば」 の話ですが、別にこの立場を前提としなくとも、非類似の物品ではなく、その実施の際に利用された物品(いわばイ号の一部)に対して効力が及ぶに過ぎないならば、意匠法24条1項には反しないと思います。

また、「同視していません」の件ですが、私の日本語力が十分でないせいか、大前提としてこちらの主張を適切に理解いただけていなかったようなので、これはわざと言及しました。
この点に関しては、分かっていて故意にやったことですので発言を撤回します。

また、「権利侵害には、民法では、行為の違法性が含まれるとしています。」の件ですが、当然のことなので言及しませんでした。
それにしても、なおすずかけさんは民法の改正後もこれを説明してから議論に入っているのでしょうか・・・ずいぶんマメですねwww

> まず、「意匠の利用は、先願意匠権者の権利を規定する意匠法26条に違反していますから、侵害と解されるでしょう。」とおっしゃっていますが、侵害とみなす旨の規定がないのに侵害と解するとは斬新な意見ですね。
そいういう御意見ならば首肯できます。

「斬新」ですか...先に書いた通り「注解意匠法」にも牛木先生の「意匠権侵害-理論と実践」にも書いています。自分が不勉強だと思うべきでは?

>結局、なおすずかけさんの解釈では、学習机事件で被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施していたのですか?してなかったのですか?

学習机事件の被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施していません。しかし当該被疑侵害者は、当該先願に係る登録意匠を利用しました。登録意匠の「実施」と「利用」は別です。

>また、「重畳的に実施されるという立場に立てば」 の話ですが、別にこの立場を前提としなくとも、非類似の物品ではなく、その実施の際に利用された物品(いわばイ号の一部)に対して効力が及ぶに過ぎないならば、意匠法24条1項には反しないと思います。

これが、意匠の分離観察を前提しなければあり得ないということがなぜ理解出来ないのですか?

学習机事件は以下のように判示しています。
「意匠は、その全体から一個の美感が生ずるものであつて、意匠の類否は結局類似した美感を与えるか否かにかかつているから、類否の判断にあたつては意匠の全体を相互に比較すべきことはいうまでもない。」

減速機付きモーター事件は以下のように判示しています。
「原告は、本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は、被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり、減速機部分は,ねじでモーター部分と固定されており、減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから、被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも、利用関係の判断に当たっては、減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが、利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)。」

建物壁用装飾板事件以下のように判示しています。
意匠の類似、非類似の判断に際しては、対象となる意匠は各部分各要素を総合した全体的な統一体として評価されるのであり、意匠から周知または公知の部分を除外して残った部分のみを評価の対象とするのではない。」

また特許庁の意匠審査基準も上記判示に沿ったものです。
(ア)対比する両意匠の意匠に係る物品の認定及び類否判断
(イ)対比する両意匠の形態の認定
(ウ)形態の共通点及び差異点の認定
(エ)形態の共通点及び差異点の個別評価
(オ)意匠全体としての類否判断

>また、「権利侵害には、民法では、行為の違法性が含まれるとしています。」の件ですが、当然のことなので言及しませんでした。
それにしても、なおすずかけさんは民法の改正後もこれを説明してから議論に入っているのでしょうか・・・ずいぶんマメですねwww

相手のレベルにあわせているまでです。

Re: タイトルなし

この辺りで確認をさせてください。
学習机事件について、なおすずかけさんの解釈では、
①学習机事件では、「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らかであり、結局、被告意匠は本件登録意匠に類似する意匠を利用するものである」と述べており、学習机事件の被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施していない」。
③従って、被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害していない。
③しかし、先願に係る登録意匠の利用は、意匠法26条に違反しており違法であるから、「民法において権利侵害に行為の違法性が含まれることにならうと」、先願に係る意匠権の侵害と解される。
ということでよろしいでしょうか。

恐れ入りますが、間違いがあればご指摘ください。

ちなみに私の解釈では、
①学習机事件における被告意匠は、先願に係る登録意匠に類似する意匠を利用するものである。
②利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる。※言うまでもなく、左の「みなす」は、法律用語の「みなす」です。
③従って、被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。
となります。

なお、私の解釈でも利用関係の成立の判断においてのみ分離観察をしています。
そして、利用が成立する場合だけは、例外的に分離観察に基づく類否判断をしないでイ号の一部の実施を観念できるという理屈です。
ただし、なおすずかけさんが「分離観察に基づく類否判断が前提となる」と理解するなら、なおすずかけさんはそのように解釈して下さい。
(念のために申し上げますが、これは皮肉ではなく、そうしないと水掛け論で話が終わらなくなるという意味です。)

さて後は蛇足ですが、私が斬新だと思ったのは、利用が成立すると意匠権を侵害するという解釈ではなく(ここは私達の間で争いがない)、意匠権の法律上の定義に拘泥せず、意匠法26条違反(不法行為)で意匠権を侵害すると解釈されている点です。
私達の間の議論で意匠法26条違反が意匠権を侵害すると解する立場には、①意匠法26条に違反すると登録意匠を実施するので、意匠法23条に基づき意匠権を侵害するという解釈、②意匠法26条に違反しても登録意匠を実施することにはならないが、不法行為なので意匠権を侵害するという解釈、があります。
ここで、②の説は、恐らくは「法律上の定義を離れて法律上の権利を侵害すること」を肯定する意見なので、これは皮肉ではなく正直に発想が凄いと感じました。

法的安定性の観点から難はありますが、法改正を経ずに種々のみなし規定を適用できる点で実に面白い見解です。
通常は、意匠権を侵害すると言えば意匠法23条に反すると解釈するので、そこから離れることは考えませんよね!
なお、私の拙い理解では、「注解意匠法」も牛木先生の「意匠権侵害-理論と実践」も、①の解釈で説明が付くと思いますし、②の解釈であると明言もしていませんので、これはなおすずかけさんの独自説と言って過言ではないと思います。

そういえば、ふと思ったのですが、なおすずかけ先生の判例解釈が正しいとすると、私が知るだけでも複数の方(7/4付貴ブログ記事等)が誤解釈しているわけですから、学習机事件は判決文の書き方が酷かったのでしょうね(又は、判決文の日本語レベルが通常を超えて高過ぎたのか・・・)。

まずは新年のご挨拶を。今年もよろしくお願いいたします。

>学習机事件について、なおすずかけさんの解釈では、
①学習机事件では、「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らかであり、結局、被告意匠は本件登録意匠に類似する意匠を利用するものである」と述べており、学習机事件の被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施していない」。
③従って、被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害していない。
③しかし、先願に係る登録意匠の利用は、意匠法26条に違反しており違法であるから、「民法において権利侵害に行為の違法性が含まれることにならうと」、先願に係る意匠権の侵害と解される。
ということでよろしいでしょうか。

正確ではありません。上記学習机事件の判示事項が適切に引用されていないためです。以下正確に上記判示事項を引用します。
「意匠の利用とは、ある意匠が(1)その構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により(2)全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する関係にある場合をいうものと解するのが相当である。」

また意匠法23条本文は、以下のように規定されています。
「意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。」

つまりは「ある意匠」と「他の登録意匠」は、非類似の関係であるので、当該「ある意匠」の実施には、当該「他の登録意匠」の意匠法23条の効力は及ばないと考えています。

>ちなみに私の解釈では、
①学習机事件における被告意匠は、先願に係る登録意匠に類似する意匠を利用するものである。
②利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる。※言うまでもなく、左の「みなす」は、法律用語の「みなす」です。
③従って、被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。
となります。

「従って」という言葉があるので、2と3は原因と結果の関係、つまり結論3を理由2が支持している関係、だと思います。
ここでこの因果関係を検討すると、「被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。」→「利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる。」となりますが、これは、当たり前のことを言っているに過ぎません。なぜなら「先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる」という言明は、「意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。」の反復同義表現(tautology)であり当たり前のことだからです。つまりは「Aである。なぜならAが正しいからである」と言っているに過ぎないからです。

このように成否自体が問われているのに、それを前提として(又は正当化の根拠として)自説を主張するのは、論点先取という詭弁であり詐術です。

なぜ「みなすことができるのか」こそが争いになっているのです。その根拠を明らかにしてください。

ちなみに「他の登録意匠」に類似しているのは「構成要素」であって意匠法上の意匠ではないことに留意すべきです。つまり「構成要素」は「ある意匠」の一部を構成するものに過ぎないが、分離観察によって、物品と形態が特定されることで当該「他の登録意匠」と類否判断されうるのです(全体観察では当該「ある意匠」の物品と形態が特定され、当該「構成要素」はその一部でしかない)。

>なお、私の解釈でも利用関係の成立の判断においてのみ分離観察をしています。
そして、利用が成立する場合だけは、例外的に分離観察に基づく類否判断をしないでイ号の一部の実施を観念できるという理屈です。

これは実質的には、意匠の一部だけを抽出して類否判断していることになります。それが認められないということについては散々指摘してきました。なぜそれに反論せずに同じことを何度も繰り返すのですか?

>さて後は蛇足ですが、私が斬新だと思ったのは、利用が成立すると意匠権を侵害するという解釈ではなく(ここは私達の間で争いがない)、意匠権の法律上の定義に拘泥せず、意匠法26条違反(不法行為)で意匠権を侵害すると解釈されている点です。

「意匠権の法律上の定義」って何ですか? もしかして「意匠権侵害とは、正当権原なき第三者による登録意匠の実施である」のことですか? これを「定義」というのは弁理士受験業界による造語です(実際元知財高裁判事で弊所相談役が「そんな言い方はしない」と言っていました)。この「定義」の実体は妥当だとしても、これは「意匠法23条違反の意匠権侵害の要件」と呼ばれるべきものです。なぜなら同条から演繹される帰結だからです(手前味噌ですが、http://naosuzukake.blog90.fc2.com/blog-entry-5.htmlを参照してください)。

>なお、私の拙い理解では、「注解意匠法」も牛木先生の「意匠権侵害-理論と実践」も、①の解釈で説明が付くと思いますし、②の解釈であると明言もしていませんので、これはなおすずかけさんの独自説と言って過言ではないと思います。

本当に「拙い理解」ですね。これらの参考書を本当に読んだのですか? これらの見解を紹介します。

0.学習机事件
意匠法第二六条は登録意匠相互間の利用関係について規定するが、意匠の利用関係のみについていえば、他の登録意匠を利用する意匠はそれ自体必ずしも意匠登録を受けている意匠である必要はなく、意匠の利用関係は登録意匠と未登録意匠との間にも成立するものであり、他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した未登録意匠の実施が、他人の当該意匠権の侵害を構成することは勿論である。」

この前に他の登録意匠と、当該他の登録意匠を利用するある意匠とは非類似の関係であると述べているので、23条違反と解する余地はありません。

1.注解意匠法。
https://twitter.com/naosuzukake/status/313992711625666561/photo/1
をご参照ください。「実施を強行すると侵害を構成する」とあります。全体として非類似の意匠の実施なのに23条を持ち出すのはおかしいでしょう。

2.「意匠権侵害-理論と実践」(牛木理一著、経済産業調査会)
「被告(被控訴人)は、背金を把持柄に挿入固定した柄(ロ号物件)の鋸の換刃を装着した換刃鋸(ハ号物件)を製造、販売していたが、この中の背金部分が原告(控訴人)の専有する背金に関する意匠権の侵害となるかが争われた事件である。この場合の意匠権の侵害とは、意匠法26条のいう登録意匠の利用関係が成立するか否かという問題であった。というのは、被告は背金と柄が一体に構成された物品(ロ号物件)について意匠登録第537637号の意匠権を専有していたのである。
 背金と一体となった鋸の柄(ロ号物件)の意匠が、背金だけの登録意匠と類似するかという問題は、いうまでもなく非類似であることは当然である。
(以下略)」

他にも紹介します。

3.弁理士会のサイトには、以下のような記述があります。

「(2) 他人の登録意匠に類似しないとして登録された意匠であっても、他人の先行する登録意匠を利用するときには、登録された自己の意匠を製造、販売等する行為は他人の意匠権侵害を構成することになります(意匠法第26条)。
登録されるだけに、「調査」以外には権利侵害の危険性を知る機会がありません。
例) 意匠A(携帯電話)は、登録されたので安心して商品の販売をしていたところ、他人の登録意匠B(携帯電話用アンテナ)の侵害であるとクレームを受けるおそれがあります。登録意匠Bの利用すなわち権利侵害となるのです。」

4.知的財産法講議<著作権法・意匠法> 渋谷達紀著、有斐閣発行 P303 
『物品が登録意匠のそれと類似しない事例においては、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない
例えば、登録意匠である「自転車用ハンドル」の意匠を利用した「自転車」の意匠は、「自転車用ハンドル」とは物品が非類似であり、形象も異なるから、「自転車用ハンドル」の意匠とは類似しない。

したがって、「自転車用ハンドル」の意匠権者は、これを「自転車」に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない。

また、物品が登録意匠のそれと同一または類似であっても、利用意匠の創作者が付加した形象の意匠的効果が格段に強く、形象が非類似のものとなっていれば、登録意匠とこれを利用する意匠とは類似しないことになる。

したがって、これらの事例については、利用意匠の無断実施であることを理由として権利侵害を主張する必要があることになる

物品が登録意匠のそれと非類似であるものを「実施上の利用意匠」、物品が登録意匠のそれと同一または類似であるものを「創作上の利用意匠」と呼ぶことにする。(注)形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合を「形象」と略する。 』

また引用はできませんが、峯唯夫先生も「ゼミナール意匠法」(法学書院)で同趣旨のことを書いています。

それにしても碌に参考書や判例も検討しないうえに、詭弁や詐術を駆使して論敵の主張を「独自説」とは空いた口がふさがりません。

念を押すために書いておきます。どうして非類似の意匠の実施に対して、「自己の登録意匠及びこれに類似する意匠を実施する権利を専有する」と規定する23条違反の意匠権侵害を主張できる(又はそうみなせる)のか根拠を示した上で、上記の紹介した見解に反論してください。

>そういえば、ふと思ったのですが、なおすずかけ先生の判例解釈が正しいとすると、私が知るだけでも複数の方(7/4付貴ブログ記事等)が誤解釈しているわけですから、学習机事件は判決文の書き方が酷かったのでしょうね(又は、判決文の日本語レベルが通常を超えて高過ぎたのか・・・)。

独善的ですねぇ。どうしても自分たちのレベルが低い又は勉強(検討)が不十分だと思わないのですか?

Re: タイトルなし

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、本論から始めます。
私の解釈でみなすことができる理由は、イ号意匠が、その構成要素として、先願に係る登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含しているからです。
このような態様の実施を登録意匠の実施とみなせないと、先願意匠権者の利益が損なわれることとなり、妥当ではありません。
なお、これが理解できないなら。それはそれで不満はないです。

また、コメントをふまえてまとめると私達の間での争点は以下の2点です。

①学習机事件で被疑侵害者が先願に係る登録意匠を実施しているか否か
なおすずかけさんは、実施していないと解釈し、私は実施しているとみなされると解釈しています。

②意匠法26条違反が意匠権を侵害する理由
なおすずかけさんは、「先願に係る登録意匠の利用は、意匠法26条に違反しており違法であるから、民法において権利侵害に行為の違法性が含まれることにならうと先願に係る意匠権の侵害と解される」と解釈し、私は「先願に係る登録意匠の利用は、登録意匠を実施しているとみなされるから、先願に係る意匠権の侵害と解される」と解釈しています。

ここで1つ質問です。
「利用関係が成立しても登録意匠を実施しないが、意匠権は侵害する」といえば済むのに、どうしてなおすずかけさんは、「利用関係が成立すると登録意匠を実施することになる」という立場なのですか?



後はどうでもいい私の解釈の件ですが、これをなおすずかけさんに理解してもらいたいとは思ってません。
一言いえば、「先願に係る登録意匠を実施しているとみなすことができる」という事実は、「意匠法23条に規定する意匠権を侵害している」という意匠法23条違反の意匠権侵害の要件にあたるので、両者は反復同義表現ではないと思います(念のためにいいますが、利用関係が成立する場合の侵害の要件です)。

なお、散々な指摘については、「一部だけを抽出して類否判断してない。利用関係の成立の判断と類否判断は別物だ」と散々反論したのですが、「いや、してる」という指摘を続けるので、もう飽きました。

あと、蛇足の件ですが、なおすずかけさんは「意匠権の法律上の定義」を知らないようですし、説明は面倒なのでこの件はもういいです。

最後に、判例その他の件ですが、冒頭でまとめたように、そもそも私達の間にこれらの見解についての争点はないです。
要点だけ指摘すると、判例その他には以下の3点が述べられており、私もこれらの点は同意していますので、今後はこれらについてのご紹介及び引用は不要です。

①利用関係が成立する場合のイ号意匠は、全体としては先願に係る登録意匠とは非類似である。
②意匠の利用とは、ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する関係にある場合をいう。
③他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠の実施は、当該他人の意匠権を侵害する。
なお、冒頭で述べたなおすずかけさんの解釈については無言です。

というわけで、ご紹介頂いた見解に反論する必要はないのですが、強いていうなら「意匠法26条の利用関係が成立する場合に他人の意匠権を侵害することになるという見解に賛同します」としか言いようがないです。
上記3点には争いがないこと・・・いい加減理解して欲しいですね。

そうそう、今回の利用の話について、少なくとも私達のレベルが低いのには同意しますし、説明が冗長で分かり難いと思ってます。

長くなるのでわけてお返事いたします。

>私の解釈でみなすことができる理由は、イ号意匠が、その構成要素として、先願に係る登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含しているからです。
このような態様の実施を登録意匠の実施とみなせないと、先願意匠権者の利益が損なわれることとなり、妥当ではありません。

これは、「先願の登録意匠を利用する意匠の実施を当該先願意匠権の侵害」とする理由であって、「先願の登録意匠を利用する意匠の実施を意匠法23条違反の意匠権侵害」とする理由ではありません。なぜなら「先願の登録意匠を利用する意匠の実施を意匠法26条違反の意匠権侵害」としても上記趣旨は満たされるからです。ちゃんと何が争点になっているのかちゃんと理解しましょう。

>後はどうでもいい私の解釈の件ですが、これをなおすずかけさんに理解してもらいたいとは思ってません。
一言いえば、「先願に係る登録意匠を実施しているとみなすことができる」という事実は、「意匠法23条に規定する意匠権を侵害している」という意匠法23条違反の意匠権侵害の要件にあたるので、両者は反復同義表現ではないと思います(念のためにいいますが、利用関係が成立する場合の侵害の要件です)。

ここでこの直前の私の投稿を再掲します。
(ここから)
>ちなみに私の解釈では、
①学習机事件における被告意匠は、先願に係る登録意匠に類似する意匠を利用するものである。
②利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる。※言うまでもなく、左の「みなす」は、法律用語の「みなす」です。
③従って、被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。
となります。

「従って」という言葉があるので、2と3は原因と結果の関係、つまり結論3を理由2が支持している関係、だと思います。
ここでこの因果関係を検討すると、「被疑侵害者は、意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。」→「利用が成立する場合、被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる。」となりますが、これは、当たり前のことを言っているに過ぎません。なぜなら「先願に係る登録意匠を「実施しているとみなす」ことができる」という言明は、「意匠法23条に規定する意匠権を侵害している。」の反復同義表現(tautology)であり当たり前のことだからです。つまりは「Aである。なぜならAが正しいからである」と言っているに過ぎないからです。

このように成否自体が問われているのに、それを前提として(又は正当化の根拠として)自説を主張するのは、論点先取という詭弁であり詐術です。
(ここまで)

私が問題にしているのは、2と3の関係です。2と3は論理(学)的には反復同義表現であります。より詳しく書くと、命題2が真であれば命題3も必ず真になるものです。

これに対してbenrishikoza氏は、「一言いえば、「先願に係る登録意匠を実施しているとみなすことができる」という事実は、「意匠法23条に規定する意匠権を侵害している」という意匠法23条違反の意匠権侵害の要件にあたる」と述べています。

これは先の私の言葉を使えば、先のbenrishikoza氏の主張は、(利用関係が成立しているから)2が真であると主張しているだけです。先の私の2→3は反復同義表現に過ぎないという指摘への反論にはなっていません。

そしてなぜ2が(26条違反の意匠権侵害という解釈を排除して)真であるか否かについては依然として答えていません。

だから論点先取だと言ったのです。

>なお、散々な指摘については、「一部だけを抽出して類否判断してない。利用関係の成立の判断と類否判断は別物だ」と散々反論したのですが、「いや、してる」という指摘を続けるので、もう飽きました。

私も「利用関係の成立の判断と類否判断は別物だ」と言っています。だからこそ意匠権侵害の根拠(条文)も異なると考えているのです。しかしbenrishikoza氏は、重畳的に(一部を)実施などという珍妙な概念を用いて自説を正当化しています。

これについてはこの前のbenrishikoza氏の主張を引用しましょう。

(ここから)
なお、私の解釈でも利用関係の成立の判断においてのみ分離観察をしています。
そして、利用が成立する場合だけは、例外的に分離観察に基づく類否判断をしないでイ号の一部の実施を観念できるという理屈です。
(ここまで)

これは以下のような認定だと理解しました。
1.分離観察に基づいて意匠AとBの利用関係を判断
2.利用関係が成立すると、分離観察に基づかずに意匠Aが意匠Bの一部を実施していると判断

1と2との間で意匠AとBが変わらない訳だからこのような主張は、一部を取り出して(他を無視して)類否判断していることと同じであり、全体観察して意匠を認定しなければならないという原則を考えると、噴飯物としか言いようがありません。
 しかしこのような主張を過去に実際の裁判でしていた人がいたことを知りました。その実際の裁判とは「豆乳仕上機事件」(昭和55年(ワ)第577 号同59年3月26日判決、最高ニ小判昭和61年11月21日)です。その概要は以下の通りです。

”Xは、本件意匠とイ号意匠との類否を判断するに当って、イ号装置は上方の「一次濾過筒装置部分」と下方の「二次濾過筒装置部分」から成り立って いるが、二次濾過筒装置部分は容易に着脱しうる構造になっているから、イ号装置から二次濾過筒装置部分を取り除いて、一次濾過筒装置部分の意匠と対比 すべきであると主張した。
 しかし、意匠法における物品とは、登録された意匠に係る物品であっても、 はたまた侵害していると主張される物品であっても、経済的に独立して取引の対象とされるものをいうと解されるところ、イ号装置は通常の状態においては 一次濾過筒装置部分と二次濾過筒装置部分とが一体として備わって初めて一個の物品として取引の対象となっており、一次濾過筒装置部分のみもしくは二次濾過筒装置部分のみでもって取引されるものではないと認められるから、仮に原告主張のとおり、二次濾過筒装置部分の着脱が容易で、かつ一次濾過筒装置 部分のみによっても豆乳を抽出する目的、作用効果を有するとしても、本件意匠と一次濾過筒装置部分の意匠の対比をもって、本件意匠とイ号意匠との対比に代えることはできない。”

上記判示は名古屋地裁の裁判官によるものですが、その後原告Xは高裁、最高裁と争いましたが、その訴えは棄却されています。

牛木先生のwebサイトで解説がありますので、そちらをご参照ください。
http://www.u-pat.com/j-4.pdf

ちなみにここでは意匠の不完全利用という観点で解説がされていますが、実際の裁判ではXの主張は一部の実施であり、利用は副次的なものでした。

>最後に、判例その他の件ですが、冒頭でまとめたように、そもそも私達の間にこれらの見解についての争点はないです。
要点だけ指摘すると、判例その他には以下の3点が述べられており、私もこれらの点は同意していますので、今後はこれらについてのご紹介及び引用は不要です。

>①利用関係が成立する場合のイ号意匠は、全体としては先願に係る登録意匠とは非類似である。
②意匠の利用とは、ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する関係にある場合をいう。
③他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠の実施は、当該他人の意匠権を侵害する。
なお、冒頭で述べたなおすずかけさんの解釈については無言です。

>というわけで、ご紹介頂いた見解に反論する必要はないのですが、強いていうなら「意匠法26条の利用関係が成立する場合に他人の意匠権を侵害することになるという見解に賛同します」としか言いようがないです。
上記3点には争いがないこと・・・いい加減理解して欲しいですね。

上記1〜3に争いがないのは当然です。なぜなら「学習机事件」の判示事項そのものだからです。事実は事実として受け入れるしかないでしょう。問題はこの判示事項の「解釈」です。そして上記まとめは以下の見解を無視しています。
(ここから)
4.知的財産法講議<著作権法・意匠法> 渋谷達紀著、有斐閣発行 P303 
『物品が登録意匠のそれと類似しない事例においては、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない。

例えば、登録意匠である「自転車用ハンドル」の意匠を利用した「自転車」の意匠は、「自転車用ハンドル」とは物品が非類似であり、形象も異なるから、「自転車用ハンドル」の意匠とは類似しない。

したがって、「自転車用ハンドル」の意匠権者は、これを「自転車」に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない

(中略)

したがって、これらの事例については、利用意匠の無断実施であることを理由として権利侵害を主張する必要があることになる
(ここまで)

これはこれまでのbenrishikoza氏の主張と反する見解ですが、先の「要点」には含まれていません。

このように「要点だけ指摘すると...」と書いて自説の正当化にとって都合の悪い論点を捨象するのは邪気によるものか無邪気によるものかは分かりませんが、何にせよこの主張から得られる結論はfar reachingです。

>ここで1つ質問です。
「利用関係が成立しても登録意匠を実施しないが、意匠権は侵害する」といえば済むのに、どうしてなおすずかけさんは、「利用関係が成立すると登録意匠を実施することになる」という立場なのですか?

意味不明。そんなこと一言も書いていませんが...

コメントありがとうございます!

大事な質問になると何故か意味が伝わらないので(意匠権の質問とか)、もう一度分かりやすく3つの質問をします。
問1.30日付コメントで「学習机事件の被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施していません。しかし当該被疑侵害者は、当該先願に係る登録意匠を利用しました。」とおっしゃっておりますが、学習机事件での「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らか」という認定は肯定しているのでしょうか?
問2.肯定しているならば、なおずすけさんの上記コメントと矛盾しない理由を教えて下さい。
問3.矛盾しないならば、なおすずかけさんにとって「登録意匠を実施する」という表現が、意23条の「登録意匠の実施をする権利」の「登録意匠の実施をする」の意味とどこが異なるのか教えて下さい。


後はどうでもいい話です。
さて、何度か言っている気もしますが、どちらが正しいのかには全く興味がありません。私見として、なおすずかけさんの説には、意匠権の法律上の定義を離れて意匠権侵害を肯定する点で難があると思っていますが、その説を主張する方が一人いた所でどうでもいいことです。
「真実だと思う人には真実で、そうでないと思う人にはそうでない」それでいいじゃないですか。
なお、本論から離れた話には、できるだけお付き合いしたくないです。

また理由について、「先願の登録意匠を利用する意匠の実施を当該先願意匠権の侵害」とする理由が、「意匠法23条違反の意匠権侵害」とする理由ではあると共に、「先意匠法26条違反の意匠権侵害」とする理由であるということでよいではないですか。仲良く同じ理由ですね♪

反復同義表現の件は、本論から離れているのでどうとでも好きに理解して下さい。また、意23条違反が(26条違反の意匠権侵害という解釈を排除して)真であることを説明する気はそもそもありません(というか、「真実が一つ」とかどこかのボウヤみたないな幼稚な考えは持ってないです)。

分離観察の件は、ぜひ繰り返しご覧になって飯を吹き出して下さい。なおすずかけさんにご笑覧頂けるなら幸甚です。
また、私の主張では、他の構成要素と区別しうる態様でなければ利用が否定される結果、一部実施も否定されます。一方、なおすずかけさんが拘泥する分離観察では、この場合でも一部実施が肯定されるでしょう。
あと、利用が否定され且つ一部実施も否定されるという説をサポートしうる判例を紹介頂きありがとうございました。非常に参考になりました。

最後に、知的財産法講議の件でご指摘の箇所は「利用関係が成立する場合のイ号意匠は、全体としては先願に係る登録意匠とは非類似であるが、他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠の実施は、当該他人の意匠権を侵害する」を別の言い方にしただけの気もしますが、
「部品の意匠の意匠権者は、完成品の意匠に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない」及び「利用意匠の無断実施であることを理由として権利侵害を主張する必要があることになる」にも賛同します。
あと、僕は無邪気ということにしておいて下さい。

ところで、「注解意匠法」にも牛木先生の本にも「先願意匠権者の権利を規定する意匠法26条」という記載はないということは同意頂けたと思ってます。何か誤解があればご指摘ください。

>大事な質問になると何故か意味が伝わらないので(意匠権の質問とか)、もう一度分かりやすく3つの質問をします。
問1.30日付コメントで「学習机事件の被疑侵害者は、先願に係る登録意匠を実施していません。しかし当該被疑侵害者は、当該先願に係る登録意匠を利用しました。」とおっしゃっておりますが、学習机事件での「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らか」という認定は肯定しているのでしょうか?

これは学習机事件が判示しているという「事実の一部」です。肯定も否定もありません。当然そのように判示したと認定しています。

問2.肯定しているならば、なおずすけさんの上記コメントと矛盾しない理由を教えて下さい。

学習机事件が被告意匠の分離観察に基づいて、「被告意匠を実施するときは必然的に本件登録意匠を実施する関係にあることが明らか」と認定しているからです。

これは学習机事件の以下の判示から明らかです。
「被告は、被告意匠は書架付学習机として一体不可分の意匠であるから、机部分の意匠と書架部分の意匠とが各独立して存在するものではなく、机部分の意匠を全体から分離して意匠の利用の有無を論ずることは意匠の本質を誤るものであつて許されないと主張する。」

「しかし、右主張は意匠の類否の問題と意匠の利用の問題とを混同するものというべきである。すなわち、意匠は、その全体から一個の美感が生ずるものであつて、意匠の類否は結局類似した美感を与えるか否かにかかつているから、類否の判断にあたつては意匠の全体を相互に比較すべきことはいうまでもない。」

「これに反して、意匠の利用関係の有無は、双方の意匠が全体観察においては非であることを承認しつつ、一方の意匠中に他の登録意匠の全部が包含されているか否かを問題とするものであるから、その判断は、一個の意匠を構成する一部が登録意匠全部と同一又は類似であるかを検討することによつてなされるべきことはむしろ当然である。従つて、意匠の利用の観念が認められている以上、利用関係の成否を論ずるに当り一個の意匠の一部を分離して観察の対象とすることは決して意匠の本質を誤るものではなく、これと相容れない被告の主張は当裁判所の採用しないところである。」

つまりは、
1.登録意匠と同一又は類似の意匠の実施の判断(意匠法23条違反の意匠権侵害)は、全体観察に基づいて1個の意匠(物品の形態)を認定して類否判断し、
2.登録意匠と同一又は類似の意匠を利用する意匠の実施の判断(意匠法26条違反の意匠権侵害)は、分離観察に基づいて、当該登録意匠と当該利用する意匠の構成要素との類否判断を行う、
ということです。

まとめると、被告意匠の一部を構成する構成要素が、当該被告意匠分離観察によって意匠と擬制される場合に、本件登録意匠と類似する、ということです。ここで前記構成要素は、意匠法2条1項の「意匠」には該当しないことに留意してください。

それにしても何度説明しても本当に理解できないのですね。ちゃんと私の書いたことや学習机事件を始めとする私が紹介した判例や参考書をちゃんと読んだのですか?

>問3.矛盾しないならば、なおすずかけさんにとって「登録意匠を実施する」という表現が、意23条の「登録意匠の実施をする権利」の「登録意匠の実施をする」の意味とどこが異なるのか教えて下さい。

ここまで答えれば分かると思いますが、意匠法23条の「登録意匠の実施をする権利」を行使する上で前提となっているのは意匠の全体観察であるのに対して、学習机事件での判示の一部で述べられている「登録意匠を実施する」は、分離観察によって被告意匠の一部を構成する構成要素が、意匠法上の意匠と擬制されることで、本件登録意匠の実施に該当するということです。

意匠権の法律上の定義

>私見として、なおすずかけさんの説には、意匠権の法律上の定義を離れて意匠権侵害を肯定する点で難があると思っていますが、その説を主張する方が一人いた所でどうでもいいことです。

たとえば「意匠」の定義は、意匠法2条1項に規定されています。しかし「意匠権」の定義を見つけることはできませんでした。一応私は受験勉強をして弁理士試験に合格しているので法文集は数えきれないほど参照しているのですがそのような規定を見つけることはできません。

すいません、意匠法(又は民法)の何条に定義されているのか浅学非才な私に教えてください。benrishikoza氏のレベルに近づくべく自学自習いたします。

論争の出発点

>また理由について、「先願の登録意匠を利用する意匠の実施を当該先願意匠権の侵害」とする理由が、「意匠法23条違反の意匠権侵害」とする理由ではあると共に、「先意匠法26条違反の意匠権侵害」とする理由であるということでよいではないですか。仲良く同じ理由ですね♪

こんなことを言うのであればそもそも本件記事の内容は大きく変わりませんか? というかなぜこの記事を書いたのかという出発点さえ否定されないようなコメントですね。まぁそうだというならそれはそれで構わないのですが。

ただ上記解釈は、非類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としているので、意匠法23条の拡張解釈という問題があると思いますが(1/3のコメントで指摘しています)。

それこそ法的安定性という観点では、26条の拡張解釈の方が意匠法の趣旨(それこそ上で合意されていることが前提とされている)と恣意の抑制という点で望ましいと考えます。

拡張解釈と説明責任

>反復同義表現の件は、本論から離れているのでどうとでも好きに理解して下さい。また、意23条違反が(26条違反の意匠権侵害という解釈を排除して)真であることを説明する気はそもそもありません(というか、「真実が一つ」とかどこかのボウヤみたないな幼稚な考えは持ってないです)。

法律の拡張解釈をしておいて、その理由について「説明する気はそもそもありません」というのか法律に携わる者の態度ですか?

豆乳仕上機事件

>また、私の主張では、他の構成要素と区別しうる態様でなければ利用が否定される結果、一部実施も否定されます。一方、なおすずかけさんが拘泥する分離観察では、この場合でも一部実施が肯定されるでしょう。

意味不明。私はそんなことを一度も書いていません。

>あと、利用が否定され且つ一部実施も否定されるという説をサポートしうる判例を紹介頂きありがとうございました。非常に参考になりました。

両者は独立な論点です。原判決文を読みましょう。ここでは、原告の一部の実施という概念を否定した上で、念のために利用関係について検討したが、それでも利用関係はないと判示しています。実際牛木先生は著書「意匠権侵害」では、利用以前の「一部の実施」の論点で処理すべき事案であったと解説してます。

>最後に、知的財産法講議の件でご指摘の箇所は「利用関係が成立する場合のイ号意匠は、全体としては先願に係る登録意匠とは非類似であるが、他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠の実施は、当該他人の意匠権を侵害する」を別の言い方にしただけの気もしますが、
「部品の意匠の意匠権者は、完成品の意匠に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない」及び「利用意匠の無断実施であることを理由として権利侵害を主張する必要があることになる」にも賛同します。

「部品の意匠の意匠権者は、完成品の意匠に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない」のに、なぜ意匠法23条違反の意匠権侵害が成立するのですか? ちなみにこれまで主張されて来た「登録意匠の一部の実施」は、「豆乳仕上機事件」で否定されています。

Re: タイトルなし

賛否以前の問題として、残念ながらなおすずかけさんのコメントが理解できませんでした(あと、判例のコピペが無くても判例に記載があると言って頂ければ、自分で確認しますからコピペ不要です。)。

まず、なおすずかけさんは、「登録意匠を実施しない」という解釈だったかと思います。ただし、利用判断で分離観察をした場合には、構成要素が意匠と擬制され「登録意匠を実施する」という解釈なのですよね?その上で、意26条違反が不法行為だから意匠権を侵害するという説なのですよね?

①では、何故、構成要素を意匠と擬制する必要があるのですか?
②というか、擬制しているのに「構成要素は、意匠法2条1項の「意匠」には該当しない」というのが理解できません(擬制されてない??)。擬制された意匠が、意匠法2条1項の「意匠」ではないという意味なら、別の用語を使うべきではないですか?
③それ以前に、どんな論理で構成要素を意匠に擬制できるんですか?(私が思うに構成要素は意匠に擬制できないと思います)
④さらに、構成要素の実施だから登録意匠は実施してないが、意26条違反が不法行為だから意匠権を侵害すると言った方が、筋が通ってませんか?
⑤さらにさらに、「分離観察によって被告意匠の一部を構成する構成要素が、意匠法上の意匠と擬制されることで、本件登録意匠の実施に該当する」なら、擬制された登録意匠の実施による意23条の意匠権侵害でよいのではないですか?

なお、構成要素を意匠と擬制するなんて話は初めて聞きました。
以前におっしゃってましたっけ?ご自身の発言をちゃんと理解してますか??
また、これが学習机事件を始めとする判例や参考書に記載されているとか言われたら、もうどうお相手すればいいのか分からないのですが・・・


あとは、読むのも無駄な蛇足ですので無視して頂けると助かります(都度コメントがあってもなくても、私は何とも思っていませんから)。
意匠権の法律上の定義は、意匠法23条にある通り「業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利」です。なお、意38条により一定の予備的行為も意匠権の侵害とみなされます。
ちなみに、以前になおすずかけさんは「まとめると、いわゆる意匠権、つまり登録意匠又はこれに類似する意匠を独占的に実施する権利(意23条)、及び一定の予備的行為を禁止する権利(意38条)に、自己の登録意匠を利用する意匠を実施する権利(意26条)が追加される解釈ということですね。」という発言に同意しています。

論争の出発点は、利用が意匠権の侵害となる理由についての対立だと思っています。あと、「非類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としている」とおっしゃっていますが、そもそも重畳的実施というのが私の説なので、「類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としている」だけです。批判したいなら「重畳的実施」の方を攻めるのが適切です。

拡張解釈と反復同義表現の件は一切無関係です。あと、そもそも上記の通り拡張解釈はしていません。批判したいなら「重畳的実施」の方が適切です。

豆乳仕上機事件ですが、他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合に、なおすずかけさんがおっしゃる分離観察をしても、一部実施が否定されるとでもいいたいのですか?なお、牛木先生が不完全利用とおっしゃるように、両者は独立な論点でもあり関連する論点でもあるかと思います。

学習机事件で「部品の意匠の意匠権者は、完成品の意匠に無断利用されても、意匠が類似することを理由として意匠権の侵害を主張することはできない」のに、意匠法23条違反の意匠権侵害が成立する理由は、利用が成立するからです。
ちなみにこれまで私が主張して来た「登録意匠の一部の実施」は、利用が成立する場合に限った話です。巧妙に一部を切り出して詐欺的に否定するのは、時間の無駄ですからやめて下さい。なお、私達の冗長なコメントのやりとりを見てる人など皆無でしょうから、本論から故意に離れるような姑息な手段を使わずに争点のみの議論でいきましょうよ(というか、そうお願いします)。

なお、「注解意匠法」にも牛木先生の本にも記載がないことに同意頂けたなら、不勉強云々の暴言を撤回してくれると嬉しいです。

議論の進め方について

>賛否以前の問題として、残念ながらなおすずかけさんのコメントが理解できませんでした(あと、判例のコピペが無くても判例に記載があると言って頂ければ、自分で確認しますからコピペ不要です。)。

申し訳ありませんが、私はbenrishikoza氏の理解力に疑いを持っています。よって該当箇所は必ず引用させていただきます。同時に私の主張に反論する際には、必ず該当箇所を引用してください。

充実した議論のためのご協力をよろしく御願いいたします。

>①では、何故、構成要素を意匠と擬制する必要があるのですか?

そうしないと利用関係が判断できないからです。なぜなら意匠の利用関係は、ある意匠の構成要素が他の登録意匠と同一又は類似の関係にあることを言いますが、その同一又は類似の関係を判断するためには、前記構成要素を意匠法上の意匠と擬制することで物品と形態を特定した上で、前記構成要素と前記他の登録意匠との類否判断をしなければならないからです。

>②というか、擬制しているのに「構成要素は、意匠法2条1項の「意匠」には該当しない」というのが理解できません(擬制されてない??)。擬制された意匠が、意匠法2条1項の「意匠」ではないという意味なら、別の用語を使うべきではないですか?

意匠の利用関係を判断する際には、構成要素は意匠法上の意匠ではないけど、あたかも意匠法上の意匠であるかのように取り扱うという意味です。

>③それ以前に、どんな論理で構成要素を意匠に擬制できるんですか?(私が思うに構成要素は意匠に擬制できないと思います)

学習机事件より引用。
「これに反して、意匠の利用関係の有無は、双方の意匠が全体観察においては非であることを承認しつつ、一方の意匠中に他の登録意匠の全部が包含されているか否かを問題とするものであるから、その判断は、一個の意匠を構成する一部が登録意匠全部と同一又は類似であるかを検討することによつてなされるべきことはむしろ当然である。従つて、意匠の利用の観念が認められている以上、利用関係の成否を論ずるに当り一個の意匠の一部を分離して観察の対象とすることは決して意匠の本質を誤るものではなく、これと相容れない被告の主張は当裁判所の採用しないところである。」

分離観察によって、前記「一部」を意匠であるかのように取り扱っているからこそ、前記「登録意匠」と同一又は類似であるかを判断できるのです。

>④さらに、構成要素の実施だから登録意匠は実施してないが、意26条違反が不法行為だから意匠権を侵害すると言った方が、筋が通ってませんか?

意味不明。そのように主張していますが...

⑤さらにさらに、「分離観察によって被告意匠の一部を構成する構成要素が、意匠法上の意匠と擬制されることで、本件登録意匠の実施に該当する」なら、擬制された登録意匠の実施による意23条の意匠権侵害でよいのではないですか?

 あくまで分離観察によってあたかも意匠であるかのように取り扱われているだけです。先に書いたように意匠法23条の意匠権侵害は、全体観察に基づかなくてはなりません。そしてある登録意匠と該登録意匠を利用する意匠とは全体観察すれば非類似の関係です。よって意匠法23条違反の意匠権侵害とする余地はありません。

ちなみに全体観察と分離観察の判例を再掲しておきます。

学習机事件は以下のように判示しています。
「意匠は、その全体から一個の美感が生ずるものであつて、意匠の類否は結局類似した美感を与えるか否かにかかつているから、類否の判断にあたつては意匠の全体を相互に比較すべきことはいうまでもない。」

減速機付きモーター事件は以下のように判示しています。
「原告は、本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は、被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり、減速機部分は,ねじでモーター部分と固定されており、減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから、被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも、利用関係の判断に当たっては、減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが、利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)。」

建物壁用装飾板事件以下のように判示しています。
意匠の類似、非類似の判断に際しては、対象となる意匠は各部分各要素を総合した全体的な統一体として評価されるのであり、意匠から周知または公知の部分を除外して残った部分のみを評価の対象とするのではない。」

また特許庁の意匠審査基準も再掲します。
(ア)対比する両意匠の意匠に係る物品の認定及び類否判断
(イ)対比する両意匠の形態の認定
(ウ)形態の共通点及び差異点の認定
(エ)形態の共通点及び差異点の個別評価
(オ)意匠全体としての類否判断

構成要素を意匠と擬制する

>なお、構成要素を意匠と擬制するなんて話は初めて聞きました。
以前におっしゃってましたっけ?ご自身の発言をちゃんと理解してますか??

私のblogの記事に反論したcof氏への返答で書いています。http://naosuzukake.blog90.fc2.com/blog-entry-1329.html
の「類否判断と利用関係の成否」というタイトルのコメントをご参照ください。

これはbenrishikoza氏の1/11付けの質問に答えるために導入した言葉です。そんな低レベルな質問するから導入したことをご理解ください。

重畳的実施

>論争の出発点は、利用が意匠権の侵害となる理由についての対立だと思っています。あと、「非類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としている」とおっしゃっていますが、そもそも重畳的実施というのが私の説なので、「類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としている」だけです。批判したいなら「重畳的実施」の方を攻めるのが適切です。

「重畳的実施」については12/28付けのコメントで反論しています。その後議論が進展し、benrishikoza氏は「重畳的実施」という立場に立たなくても「一部の実施」で説明できると主張し始めました(12/29付けコメント参照)。

「重畳的実施」についてはさらに反論しておきましょう。
1.意匠法7条と矛盾する
2.学習机事件で1個の意匠が特定されると判示している。
3.豆乳仕上機事件も物品は1つに特定されると判示している。「意匠法における物品とは、登録された意匠に係る物品であっても、 はたまた侵害していると主張される物品であっても、経済的に独立して取引の対象とされるものをいうと解されるところ、イ号装置は通常の状態においては 一次濾過筒装置部分と二次濾過筒装置部分とが一体として備わって初めて一個の物品として取引の対象となっており、一次濾過筒装置部分のみもしくは二次濾過筒装置部分のみでもって取引されるものではない...」
4.「重畳的実施」と認定するためには、本来1個のはずの意匠を(少なくとも概念上)複数に分離しなければならないが、これは分離観察に他ならない。そして分離観察は意匠の利用関係の判断以外では用いられてはならないことは、複数の判例が判示している。

この「重畳的実施」こそbenrishikoza氏の独自説ですね。どなたか同様の主張をしている人をご存知でしたら教えてください。

で、この重畳的実施が否定されると、非類似の意匠の実施に対して意匠法23条の効力を及ぼすことになるので、意匠法の拡張解釈になります。

>豆乳仕上機事件ですが、他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合に、なおすずかけさんがおっしゃる分離観察をしても、一部実施が否定されるとでもいいたいのですか?

意味不明。「他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合」には、そもそも分離観察できません。実際のイメージを持たずに言葉だけで理解した気になるのは止めましょう。

>なお、牛木先生が不完全利用とおっしゃるように、両者は独立な論点でもあり関連する論点でもあるかと思います。

意味不明。これはここに至るまでの経緯を振り返りましょう。

(ここから)
>あと、利用が否定され且つ一部実施も否定されるという説をサポートしうる判例を紹介頂きありがとうございました。非常に参考になりました。
(ここまで)

という議論に対して、以下のように反論しました。
(ここから)
両者は独立な論点です。原判決文を読みましょう。ここでは、原告の一部の実施という概念を否定した上で、念のために利用関係について検討したが、それでも利用関係はないと判示しています。実際牛木先生は著書「意匠権侵害」では、利用以前の「一部の実施」の論点で処理すべき事案であったと解説してます。
(ここまで)

つまり豆乳仕上機事件が「利用が否定され且つ一部実施も否定されるという説をサポートしうる判例」という理解が適切ではないという議論をしたのです。

これに対して、「両者は独立な論点でもあり関連する論点でもあるかと思います」と言ったところで何の意味があるのですか? こういう言葉をもてあそぶような発言は慎むべきです。

質問及び反論します

最初に、構成要素を意匠と擬制する旨の貴ブログでのコメントを確認しました。確かに、なおすずかけさんはご自身の発言を理解され、一方私はこれを理解していなかったようです。この点につき、無礼な物言いをしたことを謝罪させて頂きます。
誠に申し訳ございませんでした。今後は貴ブログも確認いたします。

また、議論の進め方について協力しますので、なおすずかけさんも、判例等に明示されている場合にのみ「判例等に記載されている」とコメントすることを約束して下さい。

また、以下の点には同意するという理解で良いでしょうか?同意しないならお申し出下さい。
①学習机事件の判決文、注解意匠法及び牛木先生の本には、「意26条は、先願意匠権者の権利(又はその一部)を規定する」という旨の記載、及び「意26条違反が不法行為であることを根拠に意匠権の侵害が成立する」という旨の記載はない。
②意匠権の法律上の定義は、意匠法23条にある通り「業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利」である。なお、意38条により一定の予備的行為も意匠権の侵害とみなされる。
す。
③私が主張して来た「イ号意匠が実施されると、同時にそれに利用された意匠も実施されるとみなされる(重畳的実施)」は、利用が成立する場合に限った話である。
④僕は無邪気である。

さて、本論に戻って、まず擬制の効果ですが、擬制されれば本質的には性質の異なる他の法律効果と同一の法律効果が認められます。そのため、仮に構成要素が意匠と擬制され且つそれを実施すれば、登録意匠の実施となり、意23条違反の法律効果が認められるはずです。これが認められないなら、少なくとも意匠法上の意匠には擬制されていません。

続いて質問への回答の件ですが、追加質問を許して下さい。
①について、なおすずかけさんの説では、イ号意匠の実施が不法行為となればよいはずなので、構成要素を実施する又は登録意匠全体が構成要素として含まれることを「利用」と解釈すれば済むはずです。敢えて、構成要素を意匠に擬制する必要があるのでしょうか?

②と⑤について、意23条違反が否定されるなら、意匠法上の意匠であると擬制されてはいないのではないですか?

③について、質問の意味が伝わっていなかったようです。構成要素というからには、物品を無視しているのかと思います。物品を無視して意匠法上の意匠と擬制しても問題はないのですか?

④否定して頂けなかったので質問させてもらいますが、構成要素の実施という概念は意匠法上認められ得るのでしょうか?


あとは、蛇足です。

重畳的実施の件ですが、まず、「非類似の意匠を意匠法23条違反の意匠権侵害としている」と、「一部の実施」は、それぞれの別の事実です。仮に一部の実施という概念が認められるとして、その一部が登録意匠と非類似ならば意23条違反による意匠権侵害とはなりません。念のため付言すると、一部の実施が意匠法上認められないので、利用が成立する場合には登録意匠の実施を擬制して、意23条に基づく登録意匠の実施と同様の法的効果を生じさせるというのが私の説です。
また、反論については、1.12/28付けのコメントで反論したように意24条1項とは矛盾ししてないと解しています。2及び3.1個の意匠が特定されるのは当然で、その1個の意匠の実施が利用に該当すれば、1個の意匠の実施とは本質的には異なるにも関わらず、利用された意匠も同時に実施されたとみなされると解しています。4.私がいう「重畳的実施」を簡潔に言い直すと、1個に特定された意匠(イ号意匠)が実施されると、同時にそれに利用された意匠(登録意匠)も実施されるとみなされることです。両意匠を分離するではなく、利用が成立する場合に、登録意匠の実施が擬制されると解しています。
とまぁ、私は重畳的実施が否定されたことに同意してませんので、否定されたことを前提に議論をするのは止めて下さい。あと、これは私の独自説ですし、他に同様の主張をしている人がいると言ったこともないですし、そんな人は知りません。

豆乳仕上機事件の件で、「他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合」には、そもそも分離観察できませんとおっしゃってますが、「他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合」(例えば、豆乳仕上機事件の、一次濾過筒装置部分と二次濾過筒装置部分)にも行われるのが分離観察ではないのですか?
また、ご理解できなかったようですが、「両者は独立な論点です。原判決文を読みましょう。」に対して、「なお、牛木先生が不完全利用とおっしゃるように、両者は独立な論点でもあり関連する論点でもあるかと思います。」と反論しました。ご理解できたでしょうか。

>①学習机事件の判決文、注解意匠法及び牛木先生の本には、「意26条は、先願意匠権者の権利(又はその一部)を規定する」という旨の記載、及び「意26条違反が不法行為であることを根拠に意匠権の侵害が成立する」という旨の記載はない。

注解意匠法p.407には、「先願意匠権者の権利を不当に侵害しないように...」という記載があります。これは裏を返せば「意26条は、先願意匠権者の権利(又はその一部)を規定する」

あと「意26条は、先願意匠権者の権利(又はその一部)を規定する」という旨の記載、及び「意26条違反が不法行為であることを根拠に意匠権の侵害が成立する」ですが、逆に「意匠法23条違反の意匠権侵害が成立する」とも書いていないことを強調しておきたいと思います。

>②意匠権の法律上の定義は、意匠法23条にある通り「業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利」である。なお、意38条により一定の予備的行為も意匠権の侵害とみなされる。

「定義」ではないと何回書けば分かるのですか? 正気ですか? 先に書いたようにこれは「要件」です。その要件とは「違法性」です。だから、違法な行為であれば権利侵害です(http://naosuzukake.blog90.fc2.com/blog-entry-5.html)。

>③私が主張して来た「イ号意匠が実施されると、同時にそれに利用された意匠も実施されるとみなされる(重畳的実施)」は、利用が成立する場合に限った話である。

「重畳的実施」という概念自体あり得ないと書きました。

>④僕は無邪気である。

分かりません。ただ以下のいずれかであることは蓋然的です。
1.邪気がある、2.議論を総合的に理解できない、3.理解力が足りない

benrishikoza氏の揚げ足取り

>さて、本論に戻って、まず擬制の効果ですが、擬制されれば本質的には性質の異なる他の法律効果と同一の法律効果が認められます。そのため、仮に構成要素が意匠と擬制され且つそれを実施すれば、登録意匠の実施となり、意23条違反の法律効果が認められるはずです。これが認められないなら、少なくとも意匠法上の意匠には擬制されていません。

こういうのを「揚げ足をとる」といいます。

私は、以下のように書きました。
(ここから)
>②というか、擬制しているのに「構成要素は、意匠法2条1項の「意匠」には該当しない」というのが理解できません(擬制されてない??)。擬制された意匠が、意匠法2条1項の「意匠」ではないという意味なら、別の用語を使うべきではないですか?

意匠の利用関係を判断する際には、構成要素は意匠法上の意匠ではないけど、あたかも意匠法上の意匠であるかのように取り扱うという意味です。
(ここまで)

説明すると、利用関係を判断するために、ある意匠の構成要素を独立した意匠であるかのように取り扱うのです。具体的には、物品と形態を特定するのです。それは取りも直さず、利用関係を判断することを目的として、他の登録意匠との類否判断を行うためです。

矛盾のない日本語を使ってください

>また、反論については、1.12/28付けのコメントで反論したように意24条1項とは矛盾ししてないと解しています。

だからどうしたのですか? 私は意匠法7条に矛盾していると指摘したのですよ。頭大丈夫ですか?

>2及び3.1個の意匠が特定されるのは当然で、その1個の意匠の実施が利用に該当すれば、1個の意匠の実施とは本質的には異なるにも関わらず、利用された意匠も同時に実施されたとみなされると解しています。

意味不明。
「同時」ということは2つ以上の意匠を想定ていませんか? それでなぜ「1個の意匠が特定されるのは当然」と言うのですか? ちゃんとした日本語を使ってください。

>4.私がいう「重畳的実施」を簡潔に言い直すと、1個に特定された意匠(イ号意匠)が実施されると、同時にそれに利用された意匠(登録意匠)も実施されるとみなされることです。両意匠を分離するではなく、利用が成立する場合に、登録意匠の実施が擬制されると解しています。

ではどうやって利用の成否を判断するのですか? 具体例を用いて説明してください。たとえば渋谷先生の挙げた、先願登録意匠「自転車用ハンドル」、イ号意匠「自転車」で説明してください。これまでご高説された「重畳的実施」の概念を明らかにした上で「当てはめて」説明してください。

豆乳仕上機事件

>豆乳仕上機事件の件で、「他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合」には、そもそも分離観察できませんとおっしゃってますが、「他の構成要素と区別しうる態様でなかった場合」(例えば、豆乳仕上機事件の、一次濾過筒装置部分と二次濾過筒装置部分)にも行われるのが分離観察ではないのですか?

本当におかしな解釈をする人ですね。邪気で満ちあふれているのか無邪気なのかこの判断は非常に難しい...

件の判決の要旨を再掲します。
”Xは、本件意匠とイ号意匠との類否を判断するに当って、イ号装置は上方の「一次濾過筒装置部分」と下方の「二次濾過筒装置部分」から成り立っているが、二次濾過筒装置部分は容易に着脱しうる構造になっているから、イ号装置から二次濾過筒装置部分を取り除いて、一次濾過筒装置部分の意匠と対比 すべきであると主張した。
 しかし、意匠法における物品とは、登録された意匠に係る物品であっても、 はたまた侵害していると主張される物品であっても、経済的に独立して取引の対象とされるものをいうと解されるところ、イ号装置は通常の状態においては 一次濾過筒装置部分と二次濾過筒装置部分とが一体として備わって初めて一個の物品として取引の対象となっており、一次濾過筒装置部分のみもしくは二次濾過筒装置部分のみでもって取引されるものではないと認められるから、仮に原告主張のとおり、二次濾過筒装置部分の着脱が容易で、かつ一次濾過筒装置 部分のみによっても豆乳を抽出する目的、作用効果を有するとしても、本件意匠と一次濾過筒装置部分の意匠の対比をもって、本件意匠とイ号意匠との対比に代えることはできない。”

下線の通り、これはお互いが区別されうる態様であることを意味します。意匠の不完全利用という論点は、意匠の物品の作用効果(機能)に着目した話です。よく読みましょう。

非常に大事なことなので取り急ぎ確認します

なおすずかけさんは、『法律上、意匠権は定義されていない』と理解しているということでよいでしょうか。
肯定する又は否定するでお答え下さい。

なお、「意匠権」と「意匠権の侵害」とは別物ですので、回答の際に混同するのは止めて下さい。
大事なことなのでもう一度言いますが、「意匠権」について質問しているのであって「意匠権の侵害」ではありません。

意匠権の定義

>なおすずかけさんは、『法律上、意匠権は定義されていない』と理解しているということでよいでしょうか。
肯定する又は否定するでお答え下さい。

されていないと思います。

ただbenrishikoza氏はすぐ相手の主張を自分の都合の良いように解釈する癖があるので書いておきます。

「法律上、意匠権は定義されていない」とは、法律上、「意匠権とは〜権利をいう」等と明記されていないことを意味します。

これは意匠法2条1項の(定義等)として「この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」という記載から妥当だと感じられると思います。

上記はまさに「意匠」の定義です。

Re: 意匠権の定義

まず、「法律上の意匠権の定義」ですが、「意匠法に基づく意匠権の解釈」程度の意味に使用していましたが、なおすずかけさんの理解も妥当であると思います。

次に、保留していたコメントの件ですが、
イ号意匠の構成要素の物品と形態を特定して登録意匠と比較するという、なおすずかけさんの発想はとても良いと思います。
ただし、構成要素から物品を特定することはできないと思います。

これを踏まえ、以下のように自説を修正します。
非常に参考になるコメントを頂きありがとうございました。
なお、前回に頂いたコメントですが、自説修正に伴い反論の意義がなくなりましたので、拝読した旨のみをお伝えします。


意匠の利用は、
①「ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしている」という要件と、
②「その構成要素が登録意匠と同一又は類似すると認められる場合に、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する」という要件と、を満たす場合に成立すると解する。

ここで②の要件については、上記ある意匠を実施しても他の登録意匠を実施しない場合、例えば、上記構成要素を外部から視認できない場合等を除き、上記構成要素の用途及び機能が上記登録意匠と共通すると共に、上記構成要素と上記登録意匠との共通点及び差異点を総合的に観察したときに、需要者に対して異なる美感を起させない場合に、満たされると解する。

そして、意匠の利用が成立した場合には、登録意匠の実施が擬制される結果、意23条で規定する意匠権の排他権、すなわち、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利が侵害されると解する。
このように解することは、登録意匠の実施ではない予備的行為ですら意匠権侵害の擬制が意38条に規定されていることと比較しても、みなし規定がなくとも意匠権の侵害を肯定できるという観点から、公平であると解される。

なお、意匠の利用の観念が認められている以上、利用関係の成否を論ずるに当り一の意匠の構成要素を分離して観察の対象とすることは認められると解する。また、後願に係る意匠権者が、自己の意匠権をもって先願に係る登録意匠の意匠権に基づく排他権(意23条)に対抗しえないことは、意26条の規定上明らかである。
以上

朝令暮改

率直な感想を述べます。

タイトルの通り、「朝令暮改」です。ここまですごいと一連の投稿は邪気によるものと判断せざるを得ません。

先のコメントは、丁寧な言葉を使って議論の収束を目指しているように読めますが、実質は、これまでの主張を繰り返す(しかも退化した態様で)だけです。

やはり自分の都合の良い結論を導くために邪気によって以下のような主張をしているのでしょう。

>ただし、構成要素から物品を特定することはできないと思います。

特定するために分離観察するのです。学習机事件や鋸用背金事件をご参照ください。

>これを踏まえ、以下のように自説を修正します。
非常に参考になるコメントを頂きありがとうございました。
なお、前回に頂いたコメントですが、自説修正に伴い反論の意義がなくなりましたので、拝読した旨のみをお伝えします。

しかし以下の結論はこれまで私が主張したこととは相反します(両立し得ません)。

しかも「自説を修正します」と言いながら、その実態はこれまでの主張の繰り返しです。私は、benrishikoza氏がここまで不誠実な人だとは思いませんでした。

>意匠の利用は、
①「ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、その特徴を破壊することなく、他の構成要素と区別しうる態様において包含し、この部分と他の構成要素との結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしている」という要件と、
②「その構成要素が登録意匠と同一又は類似すると認められる場合に、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する」という要件と、を満たす場合に成立すると解する。

これは学習机事件の判示事項そのものです。

>ここで②の要件については、上記ある意匠を実施しても他の登録意匠を実施しない場合、例えば、上記構成要素を外部から視認できない場合等を除き、上記構成要素の用途及び機能が上記登録意匠と共通すると共に、上記構成要素と上記登録意匠との共通点及び差異点を総合的に観察したときに、需要者に対して異なる美感を起させない場合に、満たされると解する。

「上記構成要素の用途及び機能が上記登録意匠と共通する」ってどういう意味ですか? これは、「上記構成要素」を意匠であるかのように取り扱うことで「用途及び機能」を認定することで物品(の類否)を特定しているからではないのですか? これはまさしく分離観察です。

>そして、意匠の利用が成立した場合には、登録意匠の実施が擬制される結果、意23条で規定する意匠権の排他権、すなわち、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利が侵害されると解する。

「登録意匠の実施が擬制される結果」が当然であるかのように書かれていますが、利用関係が成立するからといってこのような擬制がなされるとは意匠法上規定されていません。またそのような判例もありません。なのでどのような根拠でそのような擬制がなされるのか示すべきですが、benrishikoza氏は一貫してそれを示そうとはしません。

たとえば...
(ここから)
反復同義表現の件は、本論から離れているのでどうとでも好きに理解して下さい。また、意23条違反が(26条違反の意匠権侵害という解釈を排除して)真であることを説明する気はそもそもありません(というか、「真実が一つ」とかどこかのボウヤみたないな幼稚な考えは持ってないです)。
(ここまで)

ただ今回は理由らしきものが一応書かれていますので見てみましょう。

>このように解することは、登録意匠の実施ではない予備的行為ですら意匠権侵害の擬制が意38条に規定されていることと比較しても、みなし規定がなくとも意匠権の侵害を肯定できるという観点から、公平であると解される。

「登録意匠の実施ではない予備的行為」が意匠権侵害とみなされるのは、上記引用で述べられているように、「意38条に規定されている」からです。

しかし何度も書きますが、他人の登録意匠を利用する意匠を実施した結果、当該他人の登録意匠を実施したとみなす規定はありません。

そして意匠法38条の規定と比較して、「みなし規定がなくとも意匠権の侵害を肯定できるという観点から、公平であると解される」と書いていますが、私には全く理解できません。意匠法38条は意匠権侵害擬制行為に関する規定であり、規定されているからこそ侵害とみなされるのです。なのに同条から全く条文上規定されていない登録意匠を利用する未登録意匠の実施について「みなし規定がなくとも意匠権の侵害を肯定できる」というのは意味不明と言わざるを得ません。

>なお、意匠の利用の観念が認められている以上、利用関係の成否を論ずるに当り一の意匠の構成要素を分離して観察の対象とすることは認められると解する。また、後願に係る意匠権者が、自己の意匠権をもって先願に係る登録意匠の意匠権に基づく排他権(意23条)に対抗しえないことは、意26条の規定上明らかである。

これも学習机事件の判示事項そのもの。

そんなに私に反論されるのが嫌なのですか? 議論を通じて適切な理解に到達しようという気はないのですか? そして議論を通じて弁理士受験生に示唆を与える気はないのですか?

Re: 朝令暮改

さて、以下は反論です。
>「上記構成要素の用途及び機能が上記登録意匠と共通する」ってどういう意味ですか? これは、「上記構成要素」を意匠であるかのように取り扱うことで「用途及び機能」を認定することで物品(の類否)を特定しているからではないのですか?

学習机を例に挙げれば、机部分と登録商標に係る物品である机とを比較して、構成要素部分の用途及び機能が登録商標に係る物品と共通するという意味です。これにより、物品と関連付けられない構成要素、例えば棚部分と比較する場合であっても、棚部分に何らかの物品を特定する必要が無くなります。
また、物品を特定しているからではないです。


>「登録意匠の実施が擬制される結果」が当然であるかのように書かれていますが、利用関係が成立するからといってこのような擬制がなされるとは意匠法上規定されていません。またそのような判例もありません。

なおすずかけさんが欲しい根拠ってどこかに記載があるという事実ですか?そうであれば、そのような事実に心当たりは無いです(強いて言えば、以前にcofさんがおっしゃっていました)。
また、擬制を肯定できる理由という意味であれば、利用の成立を判断する際に登録意匠を実施すると認定できる場合に、登録意匠を実施すると擬制しても当事者にとって特段不平等ではないからです。

なお、学習机事件では「他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠が偶々自己の登録意匠又はこれに類似する意匠である場合には、利用された側の意匠権者の独占的排他権と利用する側の意匠権者の実施権とが衝突する」と言っております。この点、被疑侵害者が登録意匠を実施するか又はその実施が擬制されない限り、意匠権者の独占的排他権と衝突することはありません。そして、被疑侵害者が登録意匠を実施することが否定されるとすると(この前提は誤りかもしれませんが)、学習机事件では実施が擬制されたのではないかと想像しています。

ちなみに、意26条違反による意匠権侵害を肯定する説では、仮に意26条違反により「自己の登録意匠を利用されない権利」との衝突が起きるとしても、先願に係る意匠権者が「自己の登録意匠を利用する登録意匠を実施する独占排他権」を有していない(当該権利は後願に係る意匠権者が有している)以上、意匠権の独占的排他権との衝突が起きないと思っています。


>そんなに私に反論されるのが嫌なのですか? 議論を通じて適切な理解に到達しようという気はないのですか? そして議論を通じて弁理士受験生に示唆を与える気はないのですか?

なおすずかけさんの反論は嫌ではないですが、無駄に煽る癖があるのが嫌です。
適切な理解に到達しようという気はあります。
弁理士試験にここまでの知識があると却って邪魔だと思いますので、利用について特に示唆を与えたいとは思わないです(というか、示唆を与えることができると自負する程の自信はないです)。

で、以下は蛇足です。
>しかも「自説を修正します」と言いながら、その実態はこれまでの主張の繰り返しです。私は、benrishikoza氏がここまで不誠実な人だとは思いませんでした。

確かに、自説を修正した結果、なおすずかけさんのこれまでのコメントが無効になれば不誠実な結果になったと思います。この点、コメントを拝読する限り、今までと変わらず有効とご判断頂けたようですので、無駄にならずに一安心です。

また、私達のこれまでの議論は、相手を言い負かすことを目的とするのではなく、自説を推敲することを目的としていたと思っています。なお、私が誤解していて、実はなおすずかけさんが私を言い負かしたいのならば、そのようにお申し出下さい。そのような目的のコメントは、弊ブログにふさわしくないので場所を変えて頂きたいと思います。

ついでに、相手を怒らせることにより冷静な判断力を鈍らせて論争を優位にすすめるという手法があるそうですが、私的に回答が面倒なので、今後煽り文句が使用された場合には「煽り文句はご褒美です!」と定形回答します。もちろん、なおすずかけさんもこの定形回答を使って頂いて結構です。

学習机事件における意匠法26条の解釈

>>「上記構成要素の用途及び機能が上記登録意匠と共通する」ってどういう意味ですか? これは、「上記構成要素」を意匠であるかのように取り扱うことで「用途及び機能」を認定することで物品(の類否)を特定しているからではないのですか?

>学習机を例に挙げれば、机部分と登録商標に係る物品である机とを比較して、構成要素部分の用途及び機能が登録商標に係る物品と共通するという意味です。これにより、物品と関連付けられない構成要素、例えば棚部分と比較する場合であっても、棚部分に何らかの物品を特定する必要が無くなります。
また、物品を特定しているからではないです。

この「構成要素部分の用途及び機能が登録商標に係る物品と共通する」(文中の「登録商標」は登録意匠の誤記だと思いますがそのまま引用)と判断するためには、その構成要素部分の用途及び機能を特定しなければなりません。それは実質的に前記構成要素部分を、意匠法2条1項で定義された意匠であるかのように取り扱っていることに他なりません。

学習机事件は以下のように判示します。
「これに反して、意匠の利用関係の有無は、双方の意匠が全体観察においては非類似であることを承認しつつ、一方の意匠中に他の登録意匠の全部が包含されているか否かを問題とするものであるから、その判断は、一個の意匠を構成する一部が登録意匠全部と同一又は類似であるかを検討することによつてなされるべきことはむしろ当然である。従つて、意匠の利用の観念が認められている以上、利用関係の成否を論ずるに当り一個の意匠の一部を分離して観察の対象とすることは決して意匠の本質を誤るものではなく、これと相容れない被告の主張は当裁判所の採用しないところである。」

また意匠審査基準は意匠の類否判断について以下のように行うとしています。
(ア)対比する両意匠の意匠に係る物品の認定及び類否判断
(イ)対比する両意匠の形態の認定
(ウ)形態の共通点及び差異点の認定
(エ)形態の共通点及び差異点の個別評価
(オ)意匠全体としての類否判断

そして物品の認定に関しては以下のように認定するとしています。

(2) 意匠に係る物品の認定及び類否判断 意匠に係る物品の使用の目的、使用の状態等に基づき、両意匠の、意匠に係る物品の用途及び機能を認定する

ここでお伺いします。どのようにして物品を特定しないで構成要素の用途と機能を認定するのですか?  学習机事件を例にとって説明していただけませんか?(学習机事件では説明しにくいというのであれば、先願登録意匠に係る物品が「自転車用ハンドル」で、イ号意匠に係る物品が「自転車」などの説明しやすい例でも構いません。

>>「登録意匠の実施が擬制される結果」が当然であるかのように書かれていますが、利用関係が成立するからといってこのような擬制がなされるとは意匠法上規定されていません。またそのような判例もありません。

>なおすずかけさんが欲しい根拠ってどこかに記載があるという事実ですか?そうであれば、そのような事実に心当たりは無いです(強いて言えば、以前にcofさんがおっしゃっていました)。
また、擬制を肯定できる理由という意味であれば、利用の成立を判断する際に登録意匠を実施すると認定できる場合に、登録意匠を実施すると擬制しても当事者にとって特段不平等ではないからです。

不平等でなければ良いというものではありません。日本は法治国家であり、司法は、法にもとづいて事件を解決します。その際には、法の番人たる司法は、法的安定性が高くて予見可能性の高い判決を出さなくてはなりません。そのためには、適用条文を論理解釈する際には、それが論理的に妥当でなければならないし、他の条文と整合しなくてはなりません。

先の質問への回答としては、本件のように全体として登録意匠と非類似と明示的に判断されている意匠の実施に対して、登録意匠と同一または類似の意匠にしか効力の及ばない規定を適用するためには、
1.そのようなみなし規定を定めた条文の存在、
2.登録意匠と非類似の意匠に対して意匠法23条違反の意匠権侵害が適用できると判示した判例の存在、
のいずれかが必要になるはずなのに、benrishikoza氏はそれを示しましたか? いう意味です。

>なお、学習机事件では「他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠が偶々自己の登録意匠又はこれに類似する意匠である場合には、利用された側の意匠権者の独占的排他権と利用する側の意匠権者の実施権とが衝突する」と言っております。この点、被疑侵害者が登録意匠を実施するか又はその実施が擬制されない限り、意匠権者の独占的排他権と衝突することはありません。そして、被疑侵害者が登録意匠を実施することが否定されるとすると(この前提は誤りかもしれませんが)、学習机事件では実施が擬制されたのではないかと想像しています。

残念ながらその理解は学習机事件の最も重要な点である、「意匠法26条の論理解釈」について理解していないことの反映であると言わざるを得ません。

私は自分のblogでこの「意匠法26条の論理解釈」について解説しています(http://naosuzukake.blog90.fc2.com/blog-entry-1333.html)。

以下一部修正して再掲します。

学習机事件は、以下のように判示します。
「意匠法第二六条は登録意匠相互間の利用関係について規定するが、意匠の利用関係のみについていえば、他の登録意匠を利用する意匠はそれ自体必ずしも意匠登録を受けている意匠である必要はなく、意匠の利用関係は登録意匠と未登録意匠との間にも成立するものであり、他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した未登録意匠の実施が、他人の当該意匠権の侵害を構成することは勿論である。」

 これは26条を論理解釈していることに注意して欲しい。その論理解釈を行うために、上記引用個所は、意匠の利用態様にのみ注目し、意匠の利用が利用者/被利用者の権利関係に関係なく成立すると判示している。
 具体的には、
利用A:ある登録意匠と、その登録意匠を利用する未登録意匠との関係
利用B:ある登録意匠と、その登録意匠を利用する他の登録意匠との関係

 とすると、学習机事件の判決は、利用A,Bともに意匠権侵害と判示している。意匠法26条を文理解釈すると利用Bのみが該当することにながが、学習机事件では、論理解釈(拡張解釈)によって、利用Aも該当すると判示していることに注意して欲しい。

 先に引用した箇所に続いて、学習机事件の判決は、利用Aの場合であれば、自己の登録意匠の実施に該当するという抗弁の制限について以下のように判示している。

「ところが、意匠権者は登録意匠及びこれに類似する意匠の実施を有する権利を専有する(意匠法第二三条)ところから、(1)他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用した意匠が偶々自己の登録意匠又はこれに類似する意匠である場合には、利用された側の意匠権者の独占的排他権と利用する側の意匠権者の実施権とが(2)衝突するため、両者の関係を調整する必要がある。意匠法第二六条はかかる場合双方の登録意匠の出願の先後関係により(3)先願の権利を優先せしめ、後願の登録意匠又はこれに類似する意匠が先願の登録意匠又はこれに類似する意匠を利用するものであるときは、(4)後願にかかる意匠権の実施権をもつて先願にかかる意匠権の排他権に対抗しえないこととしたのである。」

以下解説します。
(1)特に「偶々」と「...場合」という語句に注意して欲しい。これは利用には利用Aと利用Bの2種類が含まれ、以下の言明は、ある利用が偶然利用Bである場合に限定される、という意味です。
(2)これは先願登録意匠に係る意匠権と、後願である当該登録意匠を利用する他の登録意匠に係る意匠権との実施権が衝突するという意味です。これは直前の(1)の場合であることを受けています。
(3)これは権利同士が衝突する場合に先願主義の考え方に基づいて処理することを意味します。
(4)これはまさに登録意匠を利用する意匠の実施も意匠権侵害を構成し、偶然その利用が利用Aに該当する場合には、先願優位の原則に従って、後願意匠権者の実施権を制限するという意味です。

まとめると以下のようになります。
1.利用Aの取り扱い
 ある登録意匠に類似していないので23条違反ではないが、利用関係が成立しているので意匠権侵害を構成する。如何なる正当権原もないので抗弁の余地もない。

2.利用Bの取り扱い
 ある登録意匠に類似していないので23条違反ではないが、利用関係が成立しているので意匠権侵害を構成する。利用する意匠を実施する者はその利用する意匠を実施する権原を有するが、それは26条の規定により制限される。

>ちなみに、意26条違反による意匠権侵害を肯定する説では、仮に意26条違反により「自己の登録意匠を利用されない権利」との衝突が起きるとしても、先願に係る意匠権者が「自己の登録意匠を利用する登録意匠を実施する独占排他権」を有していない(当該権利は後願に係る意匠権者が有している)以上、意匠権の独占的排他権との衝突が起きないと思っています。

これまでの議論でおわかりかと思いますが、benrishikoza氏は利用Bだけに着目して、利用Aであれば衝突しない(だから登録意匠の実施が擬制されている)と反論しているのです。しかしこれまで述べてきたように衝突が起こるのは権利者同士の問題であり、それに限定されるのは意匠法26条が文言解釈される場合に限ります。つまりこれは、学習机事件が意匠法26条を論理解釈していることを無視していることに他なりません。

それにしてもなぜ全体的(総合的)に読まずに一部だけを抜き出して自身の当初の主張に都合の良い議論を展開するのですか? それは真理探究のための妥当な態度ですか?

議論する態度

>ついでに、相手を怒らせることにより冷静な判断力を鈍らせて論争を優位にすすめるという手法があるそうですが、私的に回答が面倒なので、今後煽り文句が使用された場合には「煽り文句はご褒美です!」と定形回答します。もちろん、なおすずかけさんもこの定形回答を使って頂いて結構です。

使いません。その代わりと言っては何ですが、benrishikoza氏が、
1.「要約すると」などと言いながら重要な論点を無視する
2.相手の質問にまともに答えない
3.通常妥当と信じられている言語解釈から逸脱して判例/相手の主張を解釈する
場合(いずれも「前科」があることはこれまで指摘してきました)には、

「捏造/曲解してまで自説を正当化するということは、私の議論の妥当性を認めたということですね」

と書きます。

よろしく御願いいたします。

これは余談ですが

>弁理士試験にここまでの知識があると却って邪魔だと思いますので、利用について特に示唆を与えたいとは思わないです(というか、示唆を与えることができると自負する程の自信はないです)。

この記事の最初に、benrishikoza氏は以下のように書いています。

「意匠の利用について考えさせられるきっかけがあり、「いつ書くの?いまでしょ!?」って俺のゴーストが囁くからちょっと書いてみる。」

「ちょっと」などと書くあたり何だか気軽に書いているように思えるのですが、ずいぶん変わりましたね。

あとbenrishikoza氏は最後に以下のように結んでいます。

「最後に結論。
どれでもいいけど、個人的には意23条の論述例①をお勧めする。
(中略)
真実はいつも一つ・・・とは限らない。
当然、異論は認めます。」

「真実はいつも一つとは限らない。」と書けばよいところをわざわざ「真実はいつも一つ・・・とは限らない。」と書くあたり、1の主張が当然で、他の主張はちょっとおかしいのではないかと読めます。それほどまでに自説に確信を持っておられていたのに、「示唆を与えることができると自負する程の自信はない」とは何かあったのですか?

Re: 学習机事件における意匠法26条の解釈

>これまでの議論でおわかりかと思いますが、benrishikoza氏は利用Bだけに着目して、利用Aであれば衝突しない(だから登録意匠の実施が擬制されている)と反論しているのです。しかしこれまで述べてきたように衝突が起こるのは権利者同士の問題であり、それに限定されるのは意匠法26条が文言解釈される場合に限ります。つまりこれは、学習机事件が意匠法26条を論理解釈を無視していることに他なりません。それにしてもなぜ全体的(総合的)に読まずに一部だけを抜き出して議論を展開するのですか?

そもそも意匠法26条を文理解釈した場合に専用権同士の衝突を説明できない説ならば、そのような説を「利用の他の形態」にまで拡げて全体的(総合的)に検討する意義が無いからです(学習机事件を肯定する場合に限られますが)。
なお、意26条による不法行為を理由に意匠権侵害を認定する場合、先願に係る意匠権者の専用権(意23条)の被疑侵害者による侵害を否定すると専用権同士の衝突が起きなくなり、利用制度の本来の趣旨との矛盾が生じますが、これは文理解釈を拡げる以前に当然に説明されるべき点だと思います。


>それは真理探究のための妥当な態度ですか?

妥当だと思います。むしろ、態度で言うなら、本気で真理探究をする気があるならば言葉づかいを正すべきだと思いますよ。


>どのようにして物品を特定しないで構成要素の用途と機能を認定するのですか?学習机事件を例にとって説明していただけませんか?

学習机事件の書架部分で説明すれば、「本を並べて置く」という用途と機能が認定されると思います。


>「捏造/曲解してまで自説を正当化するということは、私の議論の妥当性を認めたということですね」

「煽り文句はご褒美です!」


>「真実はいつも一つとは限らない。」と書けばよいところをわざわざ「真実はいつも一つ・・・とは限らない。」と書くあたり、1の主張が当然で、他の主張はちょっとおかしいのではないかと読めます。それほどまでに自説に確信を持っておられていたのに、「示唆を与えることができると自負する程の自信はない」とは何かあったのですか?

「真実はいつも一つ」でググって頂ければ分かるかと思いますが、私のセリフ自体がネタです。
ネタにマジレスされると恥ずかしいので勘弁して下さい。

意味不明

>そもそも意匠法26条を文理解釈した場合に専用権同士の衝突を説明できない説ならば、そのような説を「利用の他の形態」にまで拡げて全体的(総合的)に検討する意義が無いからです(学習机事件を肯定する場合に限られますが)。

「そもそも意匠法26条を文理解釈した場合に専用権同士の衝突を説明できない説」って何ですか? 私は、学習机事件の判示は、意匠法26条を文言解釈(文理解釈)すれば、それは専用権同士の衝突であると述べたのですよ。

あとすいません、「そのような説を「利用の他の形態」にまで拡げて全体的(総合的)に検討する意義が無いからです(学習机事件を肯定する場合に限られますが)。」は本当に日本語として意味が理解できません。

それでも善解して答えますと「利用の他の形態」とは、意匠の利用関係にのみ注目した場合(つまりは意匠法26条を論理解釈した場合)における、先願登録意匠と当該登録意匠を利用する未登録意匠との関係だと思われますが、その主張の前提としての「そのような説」とは先に書かれた「意匠法26条を文理解釈した場合に専用権同士の衝突を説明できない説」だと思いますが、先に述べたようにそのようなことは一度も述べていません。むしろ学習机事件は、意匠法26条を文理解釈した場合に専用権同士の衝突を説明できるとする説です。

>なお、意26条による不法行為を理由に意匠権侵害を認定する場合、先願に係る意匠権者の専用権(意23条)の被疑侵害者による侵害を否定すると専用権同士の衝突が起きなくなり、利用制度の本来の趣旨との矛盾が生じますが、これは文理解釈を拡げる以前に当然に説明されるべき点だと思います。

「利用制度の本来の趣旨」が所謂先願意匠権者と当該先願意匠権者の登録意匠を利用する後願意匠権者との間でのクロスライセンスであるとして御答えしますと、利用する意匠が登録意匠である場合には意匠法26条を文言解釈(文理解釈)すれば矛盾はしません。そして利用する意匠が未登録意匠である場合には意匠法26条を利用関係にのみ着目することによって論理解釈することで、衝突を問題にする必要はなくなります。

学習机事件が問題にしているのは、登録意匠と全体としては類似しないけどその登録意匠を利用する未登録意匠をどのようにして意匠権侵害とするのか、ということです(直感的には利用する未登録意匠に対して「そりゃないだろ」と思ったのではないかと思います)。

何度も書きますが、専用件同士の衝突が起こらない場合に、利用制度の本来の趣旨と矛盾するというのは、意匠法26条を文言解釈して学習机事件の一切の論理解釈を認めていないか理解していないかのどちらかです。

ちなみに「手提袋事件」は、意匠法26条の効力は未登録意匠にも及ぶと判示しています。判例がなぜかDLできないので牛木先生の本をコピーしたものをご紹介いたします(https://dl.dropboxusercontent.com/u/37246891/isho_tesage.pdf)

物品の認定

>>どのようにして物品を特定しないで構成要素の用途と機能を認定するのですか?学習机事件を例にとって説明していただけませんか?

>学習机事件の書架部分で説明すれば、「本を並べて置く」という用途と機能が認定されると思います。

なぜ「本を並べて置く」 という用途と機能が認定されたのでしょうか? それは書架部分にのみ着目して(他の構成要素を無視して)観察したからでしょう。これこそが学習机事件で言うところの「分離観察」であり、このときには当該書架部分は、あたかも物品「書架」であると(無意識的に)されているのです。

物品「書架付き学習机」の用途と機能が、「利用者が、(1)机部分に書物やノートを広げ、(2)書架部分に必要になることが予想される書物を並べて置く」等となるでしょうが、(1)を完全に無視しているということは、物品「書架付き学習机」ではない別な物品を観念しているからに他なりません。

このことからもbenishikoza氏が実質的に物品を認定していることがわかると思います。

さらに意匠審査基準を再掲します。
(2) 意匠に係る物品の認定及び類否判断 意匠に係る物品の使用の目的、使用の状態等に基づき、両意匠の、意匠に係る物品の用途及び機能を認定する

そう、つまり「用途及び機能を認定する」ことこそが、「物品の認定」なのです。

事実これまでも実質的にはある意匠の構成要素のみに着目して物品つまりは意匠を認定するような主張をbenrishikoza氏は正当化してきました。
 以下の主張はその典型例でしょう。
(引用開始)
4.私がいう「重畳的実施」を簡潔に言い直すと、1個に特定された意匠(イ号意匠)が実施されると、同時にそれに利用された意匠(登録意匠)も実施されるとみなされることです。両意匠を分離するではなく、利用が成立する場合に、登録意匠の実施が擬制されると解しています。
(引用終了)

「両意匠〜」以下は正直意味不明ですが、下線部に注目してください。これはイ号意匠の構成要素の一部が先願登録意匠と同一又は類似であるので実施されたとみなすということでしょうが、意匠の同一・類似の判断は、意匠審査基準にあるように、「物品」と「形態」で類否判断されます。構成要素は意匠ではないので物品は特定されないはずですが、「実施されるとみなされる」と書いているあたり、実際には意匠法上の意匠ではないものの、あたかも意匠であるかのように取り扱っているということでしょう。

Re: 物品の認定

伝わらなかったようなので要約します。
後願に係る意匠権者が利用する意匠が登録意匠である場合、なおすずかけさんの説では、後願に係る意匠権者は先願に係る意匠を実施していないので、意23条の独占的排他権を侵害しません。
よって、先願に係る独占的排他権と後願に係る独占的排他権との衝突が生じません。
衝突を問題にする必要がないとかじゃなく、衝突自体が生じません。

で、衝突が生じないことは認めるんですよね。
(認めないなら、この場合に衝突が生じることを説明して下さい。)

であれば、そもそも利用された側の意匠権者の独占的排他権と利用する側の意匠権者の独占的排他権との関係を調整する必要がなくなるので、利用の趣旨に反するということです。
あと、ご指摘の事件は、先願意匠権と後願意匠権との調整に及ぶことを先に挙げているので、当該調整を説明できなればそもそも意味がありません。

ところで、「意実施されるとみなされる」といった通り、実際には意匠法上の意匠の実施ではないものを、あたかも意匠の「実施」であるかのように解釈しているということです。

ふざけているのですか?

>伝わらなかったようなので要約します。
後願に係る意匠権者が利用する意匠が登録意匠である場合、なおすずかけさんの説では、後願に係る意匠権者は先願に係る意匠を実施していないので、意23条の独占的排他権を侵害しません。

「後願に係る意匠権者が利用する意匠が登録意匠である場合」には、後願に係る意匠権者が自己の登録意匠を実施するのは、意匠法23条では解決できないので意匠法26条違反になります。benrishikoza氏は意匠法26条の条文を御忘れになったようなのでここに書いておきます。
(ここから)
第二十六条  意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない
(ここまで)

先願意匠権者の登録意匠を実施しなくてもそれを利用する意匠を実施すればそれは、当該先願意匠権者の意匠権を侵害することになります(弁理士会のWebサイト、注解意匠法、渋谷先生の本を参照のこと)。何度同じことを書かせれば気が済むのですか? 真面目に議論する気があるのですか?

そもそもの議論の出発点は、ある登録意匠を利用する未登録意匠の実施は当該登録意匠の意匠権の侵害になるか? もしなるとすればその根拠は? というものでした。だから「後願に係る意匠権者が利用する意匠が登録意匠である場合」という前提を設けるのはそもそもが無意味です(文言解釈した意匠法26条違反の意匠権侵害を構成するから)。

上記の問いはそれを根本から覆すものです。議論の内容を最初から全く理解していないのか、自己の主張を正当化するために何でも良いからいちゃもんをつけるために問うているのか分かりませんが、とにかく信じられません。

>で、衝突が生じないことは認めるんですよね。
(認めないなら、この場合に衝突が生じることを説明して下さい。)

benrishikoza氏はそれこそ想定外の読解力の持ち主なので以下のように書いておきます。

未登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、その未登録意匠を実施しても当該他の登録意匠に係る意匠権との権利の衝突は起こりません。なぜなら当該未登録意匠には意匠権が発生していないからです。

登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、当該登録意匠と当該他の登録意匠との自己の専用権の衝突が起こります。

御願いですから真面目に議論してください。

>ところで、「意実施されるとみなされる」といった通り、実際には意匠法上の意匠の実施ではないものを、あたかも意匠の「実施」であるかのように解釈しているということです。

それを正当化する意匠法上の根拠条文又は判例の判示事項はあるのですか?

なお「実施」と書いておられますが、実施の定義や態様が問題になっていないのにこのように書くのは不適切でしょう。あくまで問題になっているのは意匠法上の意匠の問題です。

思うに定式化が適切ではないと思います。

「他の登録意匠を利用する意匠の実施」を「当該他の登録意匠の実施」とみなしているというのが適切です。

Re: ふざけているのですか?

「登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、当該登録意匠と当該他の登録意匠との自己の専用権の衝突が起こります。」

登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、当該他の登録意匠の専用権と衝突(を侵害)する点に同意します。
また、私の同意で議論の意義がなくなったかと思いますので、これをもって貴コメントへの対応を終了させてもらいます。

なお、「それを正当化する意匠法上の根拠条文又は判例の判示事項はあるのですか?」との問いですが、何度も言うように私見なので根拠は不知です。

これまでの議論の整理

(引用開始)
「登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、当該登録意匠と当該他の登録意匠との自己の専用権の衝突が起こります。」

登録意匠が他の登録意匠を利用する意匠である場合、当該他の登録意匠の専用権と衝突(を侵害)する点に同意します。
また、私の同意で議論の意義がなくなったかと思いますので、これをもって貴コメントへの対応を終了させてもらいます。
(引用終了)

「...」に書かれたことは議論するまでもなく当然のことです(青本や注解意匠法等に書かれていることだから)。これに同意したからといって議論の意義がなくなるというのは正直理解できません。

とはいえ忙しいbenrishikoza氏に、望んでいないこれ以上の議論を頼むのもどうかと思います。というわけで私もこれで議論を止めようと思います。

しかしこのやり取りを整理するため、これまでの議論の結果、このコメントの元となる記事の記載がどのように変わるのかをまとめとして明らかにするべきだと思います。それは私のためではなく、貴blogを見る弁理士受験生のためです。

ですので最後に以下の質問に御答え頂ければと思います。

1.学習机事件の意義

(引用開始)
この点、学習机事件は重要判例であるものの下級審であり、今後否定される可能性も考慮すれば殊更この事件との整合性に拘わることはお勧めしない(筋さえ通っていればこの判例との整合が多少取れなくとも良いと思う)。
(引用終了)

この一連のコメントでは、(1)これまで少なくない意匠の利用に関する判決は出ているが学習机事件に矛盾する判例は一つもなく、むしろ同判決に基づいていること、(2)学習机事件は多くの実務家に支持されている判決であること、を縷々説明してきました。今でも上記引用意見は変わりませんか?

2.26条違反の意匠権侵害
(引用開始)
とまぁ、個人的には筋が通っていればいずれであってもよいとは思うのだが、意26条で筋が通っている説明をまだ見たことがないので個人的には意23条をお勧めする。
(引用終了)

これまでの一連のコメント(と私のblog)で、(1)「未登録意匠が他の登録意匠を利用する」場合に、その未登録意匠の実施は(論理解釈された)意匠権26条違反の意匠権侵害を構成すること、(2)「未登録意匠が他の登録意匠を利用する」場合に、その未登録意匠の実施は意匠権23条違反の意匠権侵害を構成すると、(i)意匠法7条の考え方に矛盾する、(ii)意匠の類否判断は全体観察に基づくべきという複数の判決の判示に矛盾する、(iii)「ある登録意匠を利用する意匠の実施」を「当該登録意匠の実施」とみなすという考え方には合理的な根拠がない、ということを説明してきました。
 それでも弁理士受験生には23条違反で書くことを勧めますか? もしそうだとするとその理由は何ですか?

以上よろしくお願いいたします。

Re: これまでの議論の整理

なおすずかけさんへ

本当はコメントを無視しようと思っていたのですが、別に心配な点があったので回答いたします。
これで本当に最後の回答にさせてもらいますので悪しからずご理解下さい。

さて、「今でも上記引用意見は変わりませんか?」ですが、答えは変わりません。
つまり、私自身の解釈もそうですが、なおすずかけさんの判例解釈(又は条文解釈)が、学習机事件との整合が取れてなくとも私は気にしません。

また、「それでも弁理士受験生には23条違反で書くことを勧めますか?」ですが、書き方次第ですね。
少なくとも「意26条に違反するから意匠権を侵害する」とだけ説明するような書き方は勧めないです。
少なくとも「意26条に違反し、意匠権を侵害する(意23条)」という書き方ならありかと。

最後に、「もしそうだとするとその理由は何ですか?」ですが、意26条違反の場合に、意23条の意匠権(専用権)を侵害せずに意匠権を侵害するという変な状態を説明できないからです。
なお、「先願に係る登録意匠の利用は、意匠法26条に違反しており違法であるから、民法において権利侵害に行為の違法性が含まれることにならうと、先願に係る意匠権の侵害と解される」という説は、法律論としては面白いと思っています。


ところで、先日頂いた別の記事(http://benrishikoza.blog24.fc2.com/blog-entry-2273.html)のコメントでは、『特許審決は数%です』という勘違い?に基づいて、『「審判請求の理由と大差ない」審尋回答書を書く代理人が多いから特許「審決率」が低いのだと推測しています』などと、世間の弁理士先生方に喧嘩を売ったままになっております。
弊ブログにはもうコメントし辛いのでしょうが、発言の撤回をしなくとも大丈夫ですか?
勘違いに基づくコメントだとすると、体面を著しく損なうものですので心配しております。

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