珍しい知財判決集 New (2017.08.18)

珍しい知財判決集 New

New 平平成27年(ワ)第22491号:平成29年4月13日判決言渡
「損害賠償請求事件」
マキサカルシトール製剤を販売等する被告らに対し、特許権の均等侵害して損害賠償金を請求した事例。事例はそれとして、原告が独占的通常実施権者としての立場で損害賠償請求しているときに、特許権者から許諾を受けた独占的通常実施権者が製品を販売する場合も、特許法102条1項(損害の額の推定)及び特許法103条(過失の推定)が類推適用されると判示された。

平成28年(行ケ)第10067号:平成29年1月23日判決言渡
「審決取消請求事件」
プロダクトバイプロセスクレームであっても、発明特定事項を製造方法により特定される状態に限定して審査すれば、拒絶できることを判示した事例。補正によって製造方法を含むことになったクレームについて、審判ではPBPクレームの明確性要件違反の有無については検討・判断することなく、進歩性の有無について検討された。これについて、出願人は、明確性についての審理を尽くしていない等と手続の違法を主張したが、別の独立特許要件である進歩性の欠如を理由とする結論について、知財高裁はこれを合法であると判断した。
結論は首肯できるけど、本来製造方法に限定して審査しちゃいけないのを、製造方法に限定して審査している点で、審査手法に誤りがあると思うんですよ・・・。

平成27年(行ケ)第10230号:平成29年1月25日判決言渡
「審決取消請求事件」
無効審判請求人が冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つ裏付けとなる証拠を提出する場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り冒認と判断されると判示された事例
冒認出願を理由とする無効審判の審決取消請求事件である。「特許を受ける権利を承継した者によりされたこと」についての主張立証責任は特許権者が負担するが、冒認を疑わせる具体的な事情を何ら指摘することなく且つその裏付けとなる証拠を提出しない場合は、主張立証の程度は比較的簡易なもので足りるとされた。一方、冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つその裏付けとなる証拠が提出された場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り主張立証責任が尽くされたと判断されないとされた。その上で、現特許権者が発明の着想を得ていたことやそれを具体化するための方法を試行していたことを示す証拠が何ら見当たらないにもかかわらず、突如としてサンプルを製作するというのは不自然であるとして、一部請求項については冒認が認められた。

平成28年(行ウ)第374号:平成28年12月21日判決言渡
「特許査定義務付け等請求事件」
特許査定をせよ、拒絶理由通知書送達は無効だ、及び拒絶査定を送達するな等を求めた事例。通常の所要期間を経過していないので、特許査定されていなくとも訴訟要件(行訴37条の3第1項第1号)を満たさないとして、「特許査定をせよ」の要求は不適法とされた。また、拒絶理由書等の送達に関する要求は、権利義務に直接具体的な影響を及ぼさないため、処分性を有さず、「処分又は裁決」(行訴36条)を対処としてないため、不適法とされた。
なお、拒絶理由通知書の作成までの期間が通常の所要期間を徒過していた、又は不当に長期であったならば、査定を求めることはできそう。

平成27年(ワ)第17928号:平成28年9月15日判決言渡
「発信者情報開示請求事件」
リツイート行為(インラインリンク)は、公衆送信権、複製権、同一性保持権及び氏名表示権を侵害しないとされた事例。本件では、氏名不詳者がアカウントのプロフィール画像として、職業写真家が撮影した写真を使用していた。このプロフィール画像設定行為、及び氏名不詳者によるツイート行為は、公衆送信権を侵害するとして発信者情報の開示が認められた。一方、このツイートに対するリツイート行為は、これによりタイムラインのURLにリンク先であるURLへのインラインリンクが自動的に設定され、同URLからユーザーの端末に直接画像ファイルのデータが送信される(写真の画像ファイルは複製されない)として、公衆送信権及び複製権等の侵害が否定された

平成27年(ワ)第13006号:平成28年3月29日判決言渡
「職務発明補償金請求事件」
特許を受ける権利を譲渡する旨の契約に「相当の対価の支払を求める権利を有していないことを確認する」旨の条項があったことを理由に、職務発明の相当対価請求権を放棄したと判断された事例。本件契約には、「両当事者は,本発明が職務発明であり,本条の対価が,本発明により甲が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて甲が貢献した程度を考慮して定められたものであり,乙は,特許法第35条3項に基づいて,本条の対価以外に,相当の対価の支払を求める権利を有していないことを確認する」との条項があり、発明者がこれに署名押印していたために、対価請求権を放棄したと判断された。
契約だと、こういうやり方も有効だと思いました。


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