弁理士試験-前置審査と補正却下 (2013.02.11)

前置審査と補正却下

前置審査 - 短答2年目
2013/02/10 (Sun) 05:49:17
①請求項をAとして特許出願した。②請求項をAとして審査請求した。③最初の拒絶理由通知を受けて、請求項をA且つBに補正した。④最後の拒絶理由通知を受けて、請求項をA且つB且つCに補正した。⑤独立特許要件違反(新たに拡大先願が見つかった(29条の2))により補正却下され拒絶査定された。⑥ケース1:請求項A且つB且つCと、却下された補正をそのままにして拒絶査定不服審判を請求した。⑦ケース2:請求項A且つB且つC且つDと追加で補正し、拒絶査定不服審判を請求した。
Q:前置審査が行われるのはケース2のみですか?
(162-164条文、審査便覧のフローチャート、講座を読んでいる内に混乱してきました。)


Re: 前置審査 - 白服 URL
2013/02/10 (Sun) 12:17:11
162条のとおり、拒絶査定不服審判の請求と同時に補正がなされた場合に前置審査が行われます。

そのケースの場合、⑥では補正がなされていないので前置審査は行われません。⑦では補正がなされているので前置審査が行われます。

以上がご質問に対する回答ですが、他の点で気にかかる部分がありますので、ついでに指摘しておきます。

④の補正は、17条の2第5項の規定に違反しているため、補正が却下されます(53条)。従って、⑤における「拡大先願が見つかった」という設問設定をしなくても補正却下され拒絶査定されます。「A且つB」に対する拒絶理由が維持されたままとなるからです。

また、⑥の設問設定に、少々誤解があるようにも見受けられます。④における「A且つB且つC」にする補正が却下されたということは、拒絶査定の時点では、請求項は「A且つB」の状態となっています。補正をしないで審判請求を行った場合、審判では、「A且つB」が審理対象となります。

設問設定では、⑦で新たな「D」が出てきていることからみても、短答2年目さんは、拒絶査定時の請求項が「A且つB且つC」となっているという認識でいるように見受けられます。もしそうであるなら、その認識は誤りです。

補正が却下されたということは、その名のとおり、補正が受け入れられなかったということです。「補正した」という語句が誤解のもとなのかもしれません。実際には「手続き補正書を提出した。しかし、却下されたので、その補正はなされなかった。」というのが正確な言い方です。

もし、「A且つB且つC」で特許を受けたいのであれば、審判請求時の補正で、再度、④のときと同じ補正をすることが必要です。

但し、その場合、実務上は④の補正は前述のとおり補正要件を満たさないため、再度却下されてしまいます。(^_^;)

したがって、「A且つB且つC」で特許を受けたいのであれば、分割出願をする必要があります。


Re: 前置審査 - 短答2年目
2013/02/10 (Sun) 16:26:41
Q1:白服様、丁寧な解説ありがとうございます。
④なのですが、A且つBから、更にCの条件を且つで加えて、請求の範囲を限定減縮したという意味です。それなら、17条の2第5項違反にはならないと思うのですが、如何ですか?
Q2:補正却下された場合には、却下された訳なので、その前のもの(A且つB)が、拒絶査定不服審判請求前の最新の請求項になるという意味ですね。この時A且つB且つCも、A且つBからは補正しているので、前置審査に送られるということはないですか?ここが、実は今回???になったところです。
Q3:実際には、A且つBが特許法上の最新で、A且つB且つCとしても一度は却下されているので通る可能性は非常に低いので、A且つB且つEで不服審判請求することになる。と考えれば宜しいでしょうか?
Q4:よく問題にある、拒絶査定不服審判前に却下された事項は、前置審査では却下しないとあります。このことから、A且つB且つCで意見書を充実させて拒絶査定不服審判を請求した場合には、一旦拒絶理由通知が出されて、そこで、A且つB且つC且つDと減縮補正すれば良いということはありますか?


Re: 前置審査 - 白服 URL
2013/02/10 (Sun) 19:24:37
Q1について:
「A且つB」に対して、新たな発明特定事項「C」を付加する補正は、減縮には当たりますが、17条の2第5項第2号の減縮(いわゆる“限定的”減縮)には該当しません。一方、AやBを下位概念に落とす補正は、17条の2第5項第2号の減縮に該当します。

審査官が新たな先行技術調査を必要とする補正は認めない、というのが17条の2第5項第2号の趣旨です。「C」を付加したら、「C」が記載されている文献を探す必要が出てきてしまいますので、そういう補正は17条の2第5項第2号違反とされます。

この点は、条文のみから判断すると、どうしても理解できなくて、騙されたような気になるところですが、青本や審査基準を確認してみてください。単なる減縮ではいけないのです。この点は、実務上も重要です。「C」を付加する補正が認められないから、「A且つB且つC」で権利化したい場合は、安全をみて分割出願をするのです。

なお、実務家は、「C」を付加するような補正を「外的付加(ふつうの減縮)」、AやBを下位概念に落とすことを「内的付加(減縮でもあり、限定的減縮でもある)」と呼んで区別しています。これらの用語で調べてみるのもよいでしょう

Q2について:
最初の設問中、⑥の「請求項A且つB且つCと、却下された補正をそのままにして」という部分の解釈が違っていたのかもしれません。

しかし、解釈がどうであろうと、とにかく、前置審査が行われるか否かは、拒絶査定不服審判の請求時に補正があったかどうかによって決まります。

Q3について:
「A且つB且つE」とする補正も17条の2第5項第2号違反ですので、いけません。
審判請求時に出願人が“適法に”とりうる措置は、

・補正しないで、「A且つB」で反論する。審判官合議体に、審査官とは異なる判断を期待する。
・AやBを下位概念に落とす補正(限定的減縮)をする。
・「A且つB且つE」で分割する。

です。

Q4について:
Q4の第一文の根拠は何でしょうか?その一文の内容は、誤りだと思います。ひょっとして、163条1項の読み誤りでしょうか? 前提がおかしいため、第二文以降についての回答は省略します。

上記内容で、短答2年目さんのご要望には十分応えたと思いますので、以下、この話題については、私は沈黙します。(^^;)


Re: 前置審査 - 管理人
2013/02/11 (Mon) 00:14:11
白服さん
回答へのご協力ありがとうございます。

補足する必要はないのですが、外的付加の話が出たので実務的な話を少し。
審査基準上および模範解答では白服さんがおっしゃる通りです。
ただし、実務上、補正の制限違反を理解した上で外的付加をすることもあります。

というのも、審査官が新たなサーチが不要と判断すれば、外的付加でも特許査定される場合があるからです。
(つまり、サーチ済みの範囲内の外的付加は見逃してもらえる。)
分割出願するよりも安上がりですので、こういう対応もあります。

なお、審判請求時に手続補正書を提出していなければ、その前に何度補正をしても前置審査にはいきません。
あと、限定的減縮(いわゆる内的付加)は、「A且つBをA且つB’(又はA且つb)に減縮する」等と表現されます。

また、Q4は前提がめちゃくちゃなので回答不能です。
善解して、「拒絶査定不服審判前の補正が補正の要件違反であった場合に審判では却下されない、又は前置審査では特許査定をする場合を除いて補正を却下しない」ことを言っているとして、A且つB且つCとなるように補正をすると共に意見書(正確には審判請求書の理由)を充実させて拒絶査定不服審判を請求したとしても、審査で拒絶査定となっていますので、再度同じ拒絶理由が通知されることは原則としてありません(公知文献を差し替える場合などを除く)。
よって、更なる減縮補正をする機会などなく、拒絶査定を維持する旨の審決が出ます。

ところで、最後に短答2年目さんにお願いがあります。
以前もお願いした気がしますが、複数質問は回答者の方への負担が大きいので控えるようにご配慮下さい。
また、応用的なことを考えるのは(少なくとも質問するには)、基礎をしっかり理解された後にすることを強く強くお勧めします。

なお、私の場合で回答1つに平均30分ほどかかりますので、回答者の方もそれだけの時間をかけていらっしゃるとお考え下さい。
本当に必要な質問だけを厳選して下さるようお願いします。


Re: 前置審査 - 短答2年目
2013/02/11 (Mon) 05:30:31
白服様、丁寧に本当にありがとうございました。業界の慣例を知らず、A且つB且つCのように書いたのも混乱の元ですね。A且つB且つcや、A且つB且つeのように書くとは知りませんでした。私、純粋な研究職なのでお許しください。
管理人様、複数質問の件、申し訳ありません。最初の質問ではシンプルに一つにしたのですが、その後に調子に乗ってしまい・・・
さて、163条1項の理解がメチャクチャなのです。今回の質問は163条の1項が理解できず、どうしたらシンプルに質問できるかと思案して、却って、混乱させてしまいました。申し訳ありません。

最後に一つだけ質問させてください。
163条1項の「拒絶査定不服審判前の補正が補正の要件違反であった場合に審判では却下されない、又は前置審査では特許査定をする場合を除いて補正を却下しない」
あるいは、講座の解説にあります、
”審判前の補正が前置審査時に新規事項の追加(補正の要件違反)と認められた場合であっても、補正却下の対象とはならない。但し、拒絶理由となるので、拒絶理由通知がなされる。”

は、特許庁の出している前置審査のフローチャート(第9部審査の進め方の図3(p.22))ではどこを指しているのですか?フローチャートの中に”審判請求時の補正”の表現はあっても”審判(請求)前の補正”がないものですから。

私は勝手に解釈しておかしくなっています。


Re: 前置審査 - 管理人
2013/02/11 (Mon) 07:02:09
まずフローチャート(http://p.tl/-zHj)についての回答から。
ずばり、図1の「意見書・補正書の提出」です。
図3は図1から続いているのですよ・・・。

さて、後は助言です。
短答2年目さんの場合、勝手な解釈の理由はシンプルだと思います。
つまり、基礎の理解が足りないのが原因で、変な方向に逸れているのです。
とにかく、今はぐっと我慢して、レジュメ等に書いてあることだけを勉強しましょう。

特に、直前期である2月に試験に出そうもないことに時間を使うのは、はっきり言って時間の無駄です。
今はラストスパートの期間ですので、寄り道せずにレジュメ等のインプット(読み込み)を繰り返しましょう。
疑問点は秋頃に質問すれば十分です。


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