珍しい知財判決集 ~平成22年 (2012.11.06)

珍しい知財判決集 ~平成22年

平成22年(行ケ)第10191号:平成22年11月17日判決言渡
「審決取消請求事件」
出願後に頒布された引用例に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたと判断した審決が、特29条2項の適用を誤っており違法であるとして取り消された事例。なお、審決取消訴訟において、審判の手続には現れていなかった資料に基づき当業者の特許出願当時における技術常識を認定し、これによって同発明の持つ意義を明らかにすることは許されるとしても、刊行物記載の発明と公知技術との組合せにより容易に発明できたという理由を、技術常識の名の下に刊行物記載の発明から容易に発明できたという理由に差し替えることは許されないと判示されている。

平成22年(行コ)第10001号平成22年5月27日判決言渡
「情報非開示処分取消等請求控訴事件」
出願日不明、出願事実不存在という謎の特許出願に関する事件。

平成21年(ネ)第10017号:平成22年2月24日判決言渡
「特許を受ける権利の確認等請求控訴事件」
原告在職中の職務発明を転職後に他社(被告)名義で出願したため、原告が特許を受ける権利を有することの確認を求めた事件。ご存じの通り、特許を受ける権利の譲渡は出願が対抗要件です(特34条1項)ので、出願していない原告は原則として被告に対抗することができません。しかし、本事件では、原告の営業秘密である職務発明を、そのことを知りながらそのまま出願したとして、被告を「背信的悪意者」と認定し、先に出願した被告が原告に対抗できるとするのは信義誠実の原則に反して許されない(原告は特許を受ける権利の予約承継をもって被告に対抗できる)とした。

平成21年(行ウ)第358号平成22年1月26日判決言渡
「裁決取消等請求事件」
外国語特許出願を親出願として日本語でされた分割出願に係る明細書について、誤訳訂正が認められるか否かが争われた事件。誤訳訂正が認められるのは、外国語書面出願及び外国語特許出願に限られ、日本語でされた分割出願に係る明細書等の誤訳訂正は、不適法な手続であって、その補正をすることができないものであるから却下されるとし、特許庁の判断を肯定した。ちなみに、本件国際出願言語はドイツ語です。

平成20年(ネ)第10061号:平成21年1月29日判決言渡
「損害賠償請求控訴事件」
通常実施権の許諾が無効であると主張して、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償金等を求めた事件。通常実施権の設定契約に関する訴訟は東京地方裁判所に専属する(民訴6条1項)にもかかわらず、原判決が管轄違い(さいたま地裁)であったために、原判決を取り消して東京地方裁判所に移送した。

平成19年(ワ)第12655号:平成21年1月29日判決言渡
「特許を受ける権利の確認等請求事件」
予約承継済みである退職前の職務発明について転職後に出願した所、元会社(原告)と転職先(被告)とで二重譲渡の関係になった事例。出願前の特許を受ける権利の譲渡は出願が第三者対抗要件である所(特34条1項)、元会社は出願をしていなかったので転職先会社を権利者として認めた。・・・退職者には注意が必要だね。

平成19年(行ケ)第10335号:平成20年10月30日判決言渡
「審決取消請求事件(特許)」
審判請求時に請求項の数を増加する補正を行ったことを理由に補正を却下して拒絶査定を維持した審決が取り消された事例。本件では、審判請求を行った後に審査官が「手続補正書の素案」を見ており、面接記録には「全体として提示された補正案等は補正の要件を満たしている旨の心証を得た」と記載していた。このような経緯から、補正の増項に係る部分が補正の制限に違反するものであることは認めつつ、増項補正の違法のみを理由に補正請求全体を却下して補正後の請求項に何ら言及することなく補正前の請求項に基づいて判断をしたことは違法であるとして、審決を取消した。ただし、増項補正の違反を含む補正の場合に常に増項に関わらない補正事項についてまで判断すべきであるという見解を示しているのではない旨を付言している。

平成18年(行ケ)第10367号:平成19年1月30日判決言渡
「審決取消請求事件」
引用意匠が公報に掲載され、工業所有権総合情報館にて閲覧可能となったことを理由に、公知(刊行物公知ではない)になったと認定した事例。

平成12年(行コ)第176号:平成12年12月14日判決言渡
平成11年(行ウ)第243号:平成12年4月26日判決言渡
「不作為違法確認請求事件」
出願人の代表取締役が辞任直前に特許出願を取り下げ、その後に類似出願をしたため、取り下げられた特許出願について出願公開を行わないことが違法であることの確認を求めた事件。代表取締役による取り下げが無効であると主張したが、無効と解する余地がないと判示された。

平成10年(ワ)第5090号
「損害賠償請求事件」:平成12年10月31日判決言渡
被告が否定的実用新案登録技術評価書により警告したこと及び侵害訴訟を提起したことに対して、原告が損害賠償請求を求めた事例です。なお、実用新案権については、無効審決が確定してます。実用新案権が有効なものであると信じて、否定的評価書に基づき警告・侵害訴訟の提起等を行ったことについて、実29条の3第1項ただし書の相当の注意を払ったものと認めた事例です。

平成10年(ワ)第11674号:平成12年9月12日判決言渡
「意匠権及び実用新案権侵害差止等請求事件」
先使用権の効力は、意匠登録出願の際に先使用権者が現に実施をしていた具体的意匠だけではなく、それに類似する意匠にも及ぶと解するのが相当であると判示した事例。
・・・珍しいというよりも勉強用。

昭和52(行ケ)第188号:昭和53年9月21日判決言渡
商標権の無効審判において、請求の理由に「本件審判の請求の理由は追つて補充する。」とのみ記載されていたために、商56条1項で準用する特135条により審判請求を審決却下した審決の取り消しを争った事件。被告(商標権者)は「特許庁を被告とすべきである」と主張したが認められず、訴訟費用を負担する結果となった。

昭和49(行ツ)81号:昭和52年02月14日判決言渡
「審決取消請求事件」
外国人の特許権及び特許に関する権利の享有につき相互主義を定めた、旧特許法32条にいう「其ノ者ノ属スル国」は、わが国によって外交上承認された国家に限られるものではなく、また、外交上の未承認国に対し、相互主義の適用を認めるにあたって、わが国政府によるその旨の決定及び宣明を必要とするものでもないとした事例。
平成21(受)602号との相違に注目。

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tag : 珍しい知財判例集 訴訟

コメント

平成22年(行ケ)第10263号のリンク

平成22年(行ケ)第10263号のリンクが間違ってますよ。
面白い判決集めましたね。

Re: 平成22年(行ケ)第10263号のリンク

ご指摘ありがとうございます。
早速修正いたしました。

> 平成22年(行ケ)第10263号のリンクが間違ってますよ。
> 面白い判決集めましたね。

おもしろい

こういうのもためになります。ホント。

Re: おもしろい

> こういうのもためになります。ホント。

ご参考になったようで光栄です。

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