PBP類型1-1「製造に関して、経時的な要素の記載がある場合」の判断基準 (2016.03.31)

PBP類型1-1「製造に関して、経時的な要素の記載がある場合」の判断基準

プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査の取扱いについて(特許庁)

上記取り扱いで判断が難しい、PBP類型1-1「製造に関して、経時的な要素の記載がある場合」について、PBP類型1-1に該当するか否かの判断基準として、Twitterでのご指導などを踏まえて、当面は以下のように考えることにしました。
個人的には、これでいくぶんすっきりしたかな?

①製造前(完成前)の要素の記載があるか?
NOならPBPではない。
例えば、「凹部を備えた孔に凸部を備えたボルトが前記凹部と前記凸部とが係合した状態で挿通されており、前記ボルトの端部にナットを螺合してなる固定部を有する機器。」は、「挿通されており」が製造後の要素でありPBPではない。
また、製造された装置の動作は、製造後の要素でありPBPではない。

②複数の経時的時点を含むか?
NOならPBPではない。
例えば、「凹部を備えた孔に凸部を備えたボルトを前記凹部と前記凸部とが係合するように挿入し、前記ボルトの端部にナットを螺合してなる固定部を有する機器。」は、「係合するように挿入し」→第1時点と、「ナットを螺合してなる」→第2時点とを含むのでPBPである。
一方、「凹部を備えた孔に凸部を備えたボルトを挿入して前記凹部と前記凸部とが係合する固定部を有する機器。」は、「・・・挿入して・・・(同時に)係合する」→第1時点のみであり、複数の経時的時点を含まないのでPBPではない。

③複数の経時的時点が、1つの構成要素を特定(修飾)する記載であるか?
NOならPBPではない。
例えば、「凹部を備えた孔に凸部を備えたボルトを前記凹部と前記凸部とが係合するように挿入する第1固定部と、前記ボルトの端部にナットを螺合してなる第2固定部を有する機器。」は、「係合するように挿入する第1固定部」→第1時点と、「ナットを螺合してなる第2固定部」→第2時点とを含むが、それぞれが異なる構成要素(第1固定部と第2固定部)を特定しているのでPBPではない。

【注意】
ただし、拡大変更に当たる補正は、サポート要件違反又は新規事項追加であるとして認められない可能性がある。
例えば、「孔にボルトを挿入し、前記孔に前記ボルトを螺合してなる固定部」を「孔にボルトが挿通されている固定部」に変更する補正だと、「孔にボルトを螺合していない形態」が明細書等に記載されていないとして、拒絶される可能性がある。
このような補正を行う場合は、自明な範囲の補正又は新たな技術的事項を導入しない補正である旨を意見書において主張することが望ましい。

なお、今回の運用改訂は「製造方法にのみ特許性がある(物としては特許性がない)場合のPBPを認めない」という意図があると思われる。
よって、製造方法部分を削除した場合に新規性・進歩性が不備となるケースにおいては、製造方法にカテゴリー変更せざるを得ないと思われる。
また、今後、製造前とも製造後とも判断できる記載、例えば「硬化する」、「接合する」、「形成する」、「配合する」、「作成する」、「配置する」、「単離する」、「抽出する」、「蒸留する」、「メッキする」、「構成する」などは、いずれも過去形「~した(された)」又は現在進行形「~している(されている)」にすることが好ましいと思われる。


補足
上記判断基準は、当面の私的基準です。
また、特許庁の審査方針が変わる可能性があります(というか変わって欲しい)。

正直、最高裁判決の射程は、
製造方法が物の構造又は特性を特定しており且つ完成品から当業者が容易に物の構造又は特性を特定できない
範囲位が妥当だと思います。

判決文の記載からして、「強く・広く・役に立つ特許権(笑)」を目標に、特許無効を出したくない特許庁が過剰に反応するのを心配していましたが、概ね心配していた通りになってしまいました(最悪まではいかなかったけど)。
実務家の意見を踏まえて、早期に軌道修正して欲しい所ですね。

とはいえ、特許庁はシフト補正のときにもバカみたいに37条拒絶を乱発したしなぁ・・・


補足2
2016/3/30に審査運用が変わりました。
「凹部を備えた孔に凸部を備えたボルトを前記凹部と前記凸部とが係合するように挿入し、前記ボルトの端部にナットを螺合してなる固定部を有する機器」は、PBPクレームではないことが明らかになっています。
・「プロダクト・バイ・プロセス・クレームの明確性に係る審査ハンドブック関連箇所の改訂の背景及び要点


【関連記事】
「プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査について」

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弁理士試験-補正却下決定不服審判棄却審決後の流れ (2016.03.31)

補正却下決定不服審判棄却審決後の流れ

意匠法、商標法の審査の最後 - あやパパ
2016/03/24 (Thu) 06:32:43
超基本ですみません。ワード検索でよくわかりませんでした。
特許では補正却下で拒絶理由は解消されず拒絶査定だと思います。
意匠法と商標法では、どのタイミングで拒絶査定なのですか?
基本は、補正却下決定不服審判は3か月以内ですから補正却下をして3か月を待って拒絶査定(17条の2第3項)だと思います。
ここで、
補正却下があって、補正却下決定不服審判を請求して、棄却されても、その後で意見書を提出することができると思います。どうも無限ループのような気がします。

補正却下決定不服審判が棄却審決された後の流れを教えてください。

よろしくお願いします。

<ここからつぶやき>

棄却されてから意見書を提出するまでの期間がよく分かりません。棄却されてすぐに拒絶査定は酷に思えます。
意見書は何時提出できるのですか?(意見書提出期間が補正却下と同時に審判請求の場合も想定して通知されるのでしょうか?)
ワード検索をしてヒットしたものから類推するに、特許法50条準用で、補正却下決定不服審判が棄却審決となったのを受けて、拒絶理由通知がなされるのでしょうか?

すなわち、特許では最後の拒絶理由通知の後、補正却下と拒絶査定とが同時にくるのに対して、
意匠、商標では、補正却下と拒絶理由通知と拒絶査定とが別々にくるのでしょうか?(あまりに基本で恥ずかしいです)

補正却下決定不服審判が棄却審決された後の流れを教えてください。


Re: 意匠法、商標法の審査の最後 - 管理人
2016/03/28 (Mon) 12:34:23
まず、意見書提出のための指定期間は40日ですので(意匠、商標の場合)、補正却下決定不服審判を請求して棄却された後に意見書は提出できません。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/04_10.pdf

補正却下決定不服審判が棄却審決された後は、審決確定まで審査が中止されます(意17条の2第4項、商16条の2第4項)。

そして、審決確定後は審査が再開されて拒絶査定または登録査定となります。
なお、少なくとも補正却下決定と拒絶査定は別々に発送されるものと思われますが、拒絶理由は既に通知されていますので、改めて通知する必要はないものと思われます。


【関連記事】
「拒絶査定不服審判での補正却下に対する不服申立」


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「食品の用途発明に関する審査基準」の改訂について (2016.03.30)

「食品の用途発明に関する審査基準」の改訂について

「食品の用途発明に関する改訂審査基準」(特許庁)

特許審査基準が改訂されました。
具体的には、食品の用途発明が発明の対象に加わった感じです。

なお、試験的にはポイントと思われるのは下記の点です(一部改訂含む)。

・用途発明とは,ある物の未知の属性を発見し、この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明(例:船底への貝類の付着防止という属性を発見したことにより見いだされた船底防汚用組成物、アルコールの代謝を促進するという属性を発見したことにより見いだされた二日酔い防止用食品組成物等)をいう。ただし、化合物、微生物、動物又は植物に「~用」といった用途限定が付された場合は(例:殺虫用の化合物Z)、用途限定のない物そのもの(例:化合物Z)と解釈される。この用途限定は、化合物の有用性を示しているにすぎないからである。なお、「化合物Zを主成分とする殺虫剤」という記載であれば、このようには認定しない。


【関連記事】
「行政不服審査法の見直し」

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