「赤い彗星」が商標登録された件を真面目に解説 (2013.01.31)

「赤い彗星」が商標登録された件を真面目に解説

先日、「赤い彗星」などが商標登録されたこと(商標登録第5544399号)ニュースにしましたが、今日は真面目に解説しようと思います。※商標のプロの目から見たら穴があるかもしれませんので、その場合は「優しく」御指摘下さると幸甚です。

まず、一般的なガノタの感覚として、今回の商標登録には釈然としないものがあると思います。この状態を弁理士試験的に表現するならば、フリーライド(つまり、商標又はキャラクター等の著名性へのただ乗り)に当たるので、許されるべきではなという感覚ではないでしょうか。それにも関わらず、今回商標登録された理由の大きなポイントは、「赤い彗星」等が商標ではなかった点があげられると思います。言い換えると、商品又はサービスのマークとして「赤い彗星」等が使用されていない(多分・・・)ということです。

まず、フリーライドするような商標の登録が商標法的に許されないのかを考えます。
この場合に考慮すべき条文としては、
①商4条1項10号(他人の業務に係る商品等を表示する周知な商標の登録を拒絶する規定)
②商4条1項15号(他人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがある商標の登録を拒絶する規定)
③商4条1項19号(他人の業務に係る商品等を表示する著名な商標を、不正の目的をもって使用をする場合に、その商標の登録を拒絶する規定)
そして、④商4条1項7号(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標の登録を拒絶する規定)
でしょうか。

順を追って説明すると、まず①商4条1項10号については、いわゆる未登録周知商標の保護を目的とする規定です。そのため、「赤い彗星」等が商品又はサービスのマークとして使用されていなければ本条は適用の余地がないと思われます。

次に②商4条1項15号についてですが、これはいわゆる広義の混同(他人と経済的又は組織的に何らかの関係があると誤認する)をも含む概念ですので、摘要の余地はありそうです。しかし・・・例えば「赤い彗星」が、現実の誰かの業務と認識される可能性があるのでしょうか?この点、シャア・アズナブル氏の連邦政府に対する反乱業と混同する可能性はありそうですが、残念ながらシャア・アズナブル氏は現代の方ではありません。したがって、本条も適用の可能性がないと思われます。

では③商4条1項19号はどうでしょう?こちらも①と同様に、「赤い彗星」等が商品又はサービスのマークとして使用されていなければ本条文は適用の余地がないと思われます。

結局、商標法的に許されないとするならば、昨年解説したように、商4条1項7号によって登録を拒絶するしかないことになります。※実際に、歴史上の著名な人物(故人)の異名であれば登録が拒絶されます(審査便覧)。しかし現実には登録されており、特許庁はシャア・アズナブル氏が存命であるという情報を入手しているとしか考えられ・・・違う

冗談はさておき(ちなみにシャア・アズナブル氏が現実に存命の場合は商4条1項8号(他人の氏名等を含む商標の登録を拒絶する規定)で拒絶されます)、商4条1項7号によって拒絶することはできますが、これでは恣意的な運用ができてしまうので何でもかんでも商標登録を拒絶するとなると、それはそれで問題です。そのため、特許庁では商4条1項7号が適用されるためには、単に「赤い彗星」等が顧客誘引力を持っている(つまり、購入の動機になる)だけでは足りず、その言葉自体が著名である必要があると考えているのかもしれません。※本件において、「赤い彗星」等が顧客誘引力を持っているのは、商標権者の出願経過等から明らかだと思いますし、商標権者がフリーライドを狙っているのも明らかだと思います。

そう考えると、登録されてしまったのもなんとなく理解できます。ただ、これが許されるならアニメキャラの異名等は登録し放題なわけで・・・そんなことを許しちゃダメだろうと思うんですけどね。なお、可能性としては、株式会社創通さんとか、株式会社サンライズさんの許諾を得ていることも考えられますが、実際はどうなんですかね?

最後に、本件商標登録の影響ですが、かなり大きいと思います。本登録商標の指定商品は32類の「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」と33 類の「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」ですが、赤い彗星に親しんだ層は既に飲酒できる年齢ですし、ガンダムカフェでも「赤い彗星」というお酒を提供しています。ですので、権利者側が今後「赤い彗星」というお酒を販売する可能性もありますし、「赤い彗星」という文字を付したペプシ等の清涼飲料を販売する可能性もあります。こういう商売が制限されてしまうというのは、少なくとも株式会社創通さんにとっては大きな痛手だと思うからです。

なお、言うまでもないですが、アニメや漫画に「赤い彗星」等を記載することや、ネットで使う分には商標権の侵害にはなりません。


【関連記事】
「「赤い彗星」が商標登録出願されていた件」
「「赤い彗星」が商標登録された件」

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弁理士試験-H24短答問2枝4 (2013.01.31)

H24短答問2枝4

平成24年短答試験 問2 - yutaro
2013/01/30 (Wed) 21:28:51
管理人様、お世話になっております。
またまた質問がございます。

「平成24年短答試験 問2」の選択肢に以下のものがあります。


外国語書面出願に関し、最後の拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲について補正をする場合、
その補正が、

「誤訳の訂正を目的とするものであるときは、当該拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限られないが」、

「誤記の訂正を目的とするものであるときは、当該拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限られる」。


何かすごく簡単なことが分かってないのかもしれませんが、上記括弧内の2文のつながりがどうしてもわかりません。
同じ内容に関して「限られるが、限られない。」とはいったいどういうことなのでしょう?


Re: 平成24年短答試験 問2 - pat
2013/01/30 (Wed) 21:52:14
誤訳の訂正(17条の2第2項)と誤記の訂正(17条の2第5項3号)の違いです。
字が似ているので読み間違えではないですか?


Re: 平成24年短答試験 問2 - 管理人
2013/01/31 (Thu) 12:01:06
patさん
回答へのご協力ありがとうございます。

さて、私も同意見です。
読み違いではないですか?

こちら↓もご参照ください。
http://benrishikoza.web.fc2.com/kakomon/h24tanto/h24toi02.html

【関連記事】
「特17条の2第3項について」

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ニュース-平成25年度弁理士試験の日程発表 (2013.01.30)

平成25年度弁理士試験の日程発表

弁理士試験の案内
試験の実施について
・(特許庁HP)

平成25年度弁理士試験について、
以下の日程等が発表されました。

・受験願書受付期間
平成25年3月28日(木曜日)~平成25年4月10日(水曜日) (4月10日消印有効)

・試験期日
短答式筆記試験:平成25年5月26日(日曜日)
論文式筆記試験:(必須科目)平成25年7月7日(日曜日)
論文式筆記試験:(選択科目)平成25年7月28日(日曜日)
口述試験:平成25年10月18日(金曜日)~24日(木曜日)の1日

・試験地
短答式筆記試験:東京、大阪、仙台、名古屋、福岡
論文式筆記試験:東京、大阪
口述試験:東京

・合格基準
短答式筆記試験:満点に対して65%の得点を基準として、論文式筆記試験及び口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。
論文式筆記試験:必須科目の合格基準を満たし、かつ選択科目の合格基準を満たすこと。
(科目合格基準)
・必須科目:標準偏差による調整後の各科目の得点の平均(配点比率を勘案して計算)が、54点を基準として口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。ただし、47点未満の得点の科目が一つもないこと。
・選択科目:科目の得点(素点)が満点の60%以上であること。
口述試験:採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、C評価の科目が2科目以上ないこと。

・合格発表
短答式筆記試験:平成25年6月14日(金曜日)
論文式筆記試験:平成25年9月27日(金曜日)
最終合格発表:平成25年11月7日(木曜日)

・受験願書の交付期間
平成25年3月1日(金曜日)から平成25年4月10日(水曜日)まで(行政機関の休日に該当する日を除く。)
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