珍しい知財判決集 New (2018.05.28)

珍しい知財判決集 New

New 平成28年(行ケ)第10238号:平成29年7月18日判決言渡
「補償金請求控訴事件」
拒絶審決において「請求項2」を「請求項1」に誤記したことによって手続違背となり、審決が取り消された事例
拒絶査定においては、請求項1に係る発明において拒絶の理由を発見しないと記載されていた。しかし、審決では、審判請求時の補正を却下した上で、補正前の請求項1に係る発明について、進歩性がないとして拒絶していた。特許庁は、審決において請求項1の記載を摘記したのは請求項2の誤記であると主張し、且つ審決における相違点の認定も請求項2の発明に対応するものであった。しかし、知財高裁は、相違点の認定を誤ったことになるとして、拒絶の理由は通知されていないから手続を欠いた違法が存在すると判示した。


New 平成29年(行ケ)第10107号:平成30年1月15日判決言渡
「審決取消請求事件」
商標権の共有者の一部が単独で不使用取消審決の取消しを請求することを認めた事例。知財高裁は、このような取消訴訟の提起は、商標権の消滅を防ぐ保存行為に当たるから単独でもすることができると判示した、また、請求認容の判決が確定した場合、再度特許庁で共有者全員との関係で審判手続が行われ、請求棄却の判決が確定した場合、取消審決が確定して商標権は消滅したものとみなされるため、合一確定の要請に反する事態は生じないとされた。
なお、無効審判の審決取消訴訟については、単独でもすることができるという判例が存在する(最高裁平成13年(行ヒ)第142号)。

平成29年(ワ)第24850号:平成29年10月30日判決言渡
「特許申請の真正な名義への訂正等請求事件」
同姓同名の他人が、発明者の名義を訂正し、謝罪広告を新聞に掲載するように求めた事例。TOTO 株式会社の出願において、原告と同姓同名の発明者が記載されていたために、その訂正と記載を誤ったことに対する謝罪広告の掲載を求めて提訴したというアレな事件である。当然、原告の氏名を冒用したとの事実は認められないと判示された。なお、事件名が「特許申請の真正な名義への訂正等請求事件」とあるのは、「真正」な名義と特許「申請」をかけた高度な駄洒落だと思う。

平成27年(ワ)第22491号:平成29年4月13日判決言渡
「損害賠償請求事件」
マキサカルシトール製剤を販売等する被告らに対し、特許権の均等侵害して損害賠償金を請求した事例。事例はそれとして、原告が独占的通常実施権者としての立場で損害賠償請求しているときに、特許権者から許諾を受けた独占的通常実施権者が製品を販売する場合も、特許法102条1項(損害の額の推定)及び特許法103条(過失の推定)が類推適用されると判示された。

平成28年(行ケ)第10067号:平成29年1月23日判決言渡
「審決取消請求事件」
プロダクトバイプロセスクレームであっても、発明特定事項を製造方法により特定される状態に限定して審査すれば、拒絶できることを判示した事例。補正によって製造方法を含むことになったクレームについて、審判ではPBPクレームの明確性要件違反の有無については検討・判断することなく、進歩性の有無について検討された。これについて、出願人は、明確性についての審理を尽くしていない等と手続の違法を主張したが、別の独立特許要件である進歩性の欠如を理由とする結論について、知財高裁はこれを合法であると判断した。
結論は首肯できるけど、本来製造方法に限定して審査しちゃいけないのを、製造方法に限定して審査している点で、審査手法に誤りがあると思うんですよ・・・。

平成27年(行ケ)第10230号:平成29年1月25日判決言渡
「審決取消請求事件」
無効審判請求人が冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つ裏付けとなる証拠を提出する場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り冒認と判断されると判示された事例
冒認出願を理由とする無効審判の審決取消請求事件である。「特許を受ける権利を承継した者によりされたこと」についての主張立証責任は特許権者が負担するが、冒認を疑わせる具体的な事情を何ら指摘することなく且つその裏付けとなる証拠を提出しない場合は、主張立証の程度は比較的簡易なもので足りるとされた。一方、冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つその裏付けとなる証拠が提出された場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り主張立証責任が尽くされたと判断されないとされた。その上で、現特許権者が発明の着想を得ていたことやそれを具体化するための方法を試行していたことを示す証拠が何ら見当たらないにもかかわらず、突如としてサンプルを製作するというのは不自然であるとして、一部請求項については冒認が認められた。


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最高裁判決の紹介:平成28年(受)第1242号 (2018.02.13)

最高裁判決の紹介:平成28年(受)第1242号

均等論の第5要件(意識的除外)に関する最高裁判決です。
なお、今年の試験範囲に含まれ、出題可能性もありますので一度は目を通しましょう。
結論としては、『出願時の特許請求の範囲に、容易に想到できた部分を記載しなかった場合でも、それだけでは当該部分を含む製品等が意識的に除外された等の特段の事情が存するとはいえない』です。

平成28年(受)第1242号特許権侵害行為差止請求事件』

特許出願時に特許請求の範囲において、目的化合物を製造するための出発物質等としてシス体のビタミンD構造を記載していたが、トランス体のビタミンD構造は記載していなかったことが、均等論の第5要件に該当するか(意識的に除外されたものに当たる等の特段の事情となるか否か)が争われた事例。

最高裁は、特許出願時に特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、これを容易に想到できたにもかかわらず記載しなかった場合でも、それだけでは、対象製品等が意識的に除外された等の特段の事情が存するとはいえないとしました。
しかし、客観的、外形的にみて両者が代替すると認識しながらあえて記載しなかった旨を表示していたといえるときには(例えば、置き換えできることを明細書等に記載する等)、意識的に除外されたものに当たる、と判断しました。

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「最高裁判決の紹介:平成28年(受)第632号」

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最高裁判決の紹介:平成28年(受)第632号 (2017.11.10)

最高裁判決の紹介:平成28年(受)第632号

特104条の3第1項の規定に基づく抗弁(無効の抗弁)に関する最高裁判決です。
なお、来年の試験範囲に含まれ、出題可能性もありますので一度は目を通しましょう。
結論としては、特許権者が事実審(控訴審)の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁(訂正により無効理由が解消される)を主張しなかった場合、その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは、特段の事情がない限り紛争の解決を不当に遅延させるものとして許されない』です。

平成28年(受)第632号特許権侵害差止等請求事件』

シートカッターの特許特許第5374419号)について、上告審(最高裁)係属中に訂正審決が確定したことが、再審事由になるか否かが争われた事例。

控訴審で無効の抗弁が主張された時点では、別件審決取消訴訟が係属中であったため、特許権者は控訴審の口頭弁論終結時までに訂正審判の請求又は特許無効審判における訂正の請求ができなかった。
その後、上告審(最高裁)係属中に訂正審決が確定した。

この点、最高裁は、
①無効の抗弁が審理を不当に遅延させることを目的として主張されたものと認められるときは、裁判所はこれを却下することができる(特104条の3第2項)。これは、訴訟遅延が生ずることを防ぐためであり、訂正の再抗弁についてもこの理由は異ならない。
②特許権侵害訴訟の終局判決が確定した後に訂正審決が確定したときは、当事者は当該終局判決に対する再審の訴えにおいて訂正審決等が確定したことを主張することができない(特104条の4)。これは、無効の抗弁に対し
て訂正の再抗弁を主張できることを前提として、特許権の侵害に係る紛争を一回的に解決することを図ったものである
③特許権者は、無効理由を解消するための訂正審判の請求又は訂正の請求をすることが法律上できなかったが、訂正の再抗弁を主張するために現にこれらの請求をしている必要はない。そして、特許権者が訂正の再抗弁を主張できなかったとはいえず、その他の特段の事情はうかがわれない
④よって、事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず、訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは、特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして許されない
と判示した。

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「最高裁判決の紹介:平成27年(受)第1876号」

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